【調査資料紹介】大学生にとってAIは友達⁉ ――調査データから見える、Z世代とAIの距離感とは

生成AIの活用が社会全体で広がる中、大学生はAIをどのような存在として捉え、どのような距離感で日常的に使っているのでしょうか。

マイナビマーケティング・広報ラボは、大学生を対象にAIの利用実態調査を実施しました。本記事では、そのホワイトペーパー制作を担当した中西ディレクターに、調査結果をどのように読み解いたのか、数字から見えてきた傾向や背景について話を伺います。聞き手は、同ラボの桑野が務めます。

なお本記事では、調査結果の一部を紹介しながら、大学生とAIの関係性の「現在地」を整理しますが、具体的な利用シーンや詳細な分析、今後の示唆についてはホワイトペーパーで詳しくまとめていますので、ぜひご覧ください。

AI調査

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登場マーケターのプロフィール

中西

中西 舞(なかにし・まい)|株式会社マイナビ

コンテンツメディア事業本部 マーケティング部ディレクター。
大学生向けメディア『学生の窓口』の立ち上げに関わり、デジタル・アパレル・金融・食品・医薬化粧品など多様な業界の広告企画を担当。
現在は大学生をはじめとしたZ世代向け案件を中心に、年間約200件以上のプランニングおよび営業同行を行う。

桑野 好絵(くわの・このえ)|株式会社マイナビ

桑野 好絵(くわの・このえ)|株式会社マイナビ

2007年マイナビ入社。
女性向けメディアや若年層トレンド領域に従事し、現在は『マイナビニュース』『マイナビウーマン』などの広告企画を担当。
Z世代に特化した調査チーム「マイナビティーンズラボ」のプランニングやデータ解説、企業向けの講演も行う。
高校1年生の息子を育てる母として、「調査データ」と「リアルな声」の両面から若者インサイトを掘り下げている。

 

生成AIの普及と、大学生の実際の利用状況とは

桑野

まずは、なぜ今「大学生×AI」の調査を実施したのか、背景から伺えますか。

中西

ここ数年で、生成AIの日常利用は爆発的に進んでいます。私たちが普段追っているトレンドやブームは、比較的ティーン世代から始まることが多いのですが、AIツールについても同じような流れなのか、実態をきちんとデータで確認したいと考えました。
特に大学生は、学習とプライベートの両方でAIに触れる機会が多い世代です。感覚的なイメージではなく、実際にどのような距離感でAIを使っているのかを把握する必要があると感じ、今回の調査を実施しました。

 

AIはチャッピーと呼ぶ?AIを「友達」と捉える大学生が多いという結果

Q.オープン型対話AIを人に例えると、あなたにとって最も近い存在はどれですか?

オープン型対話AIを人に例えると、あなたにとって最も近い存在はどれですか?

(n=302)

桑野

今回の調査結果の中で、特に印象的だったのが、AIを人にたとえた際に「友達」と回答した大学生が多かった点です。この結果について、どのように受け止めていますか。

中西

「友達」という言葉だけを見ると、AIを人と同じ存在として捉えているようにも見えますが、必ずしもそうではないと考えています。調査全体を通して見ると、AIは感情的に依存する対象というよりも、人に聞きづらいことを気軽に投げかけられる存在として受け止められているように感じました。

桑野

心理的な距離が近い存在、ということですね。

中西

はい。ホワイトペーパーでは、大学生がAIに相談している具体的な内容についても整理しています。たとえば、旅行や外出の予定を考える際の相談メッセージや返信文の言い回しを考えるサポート判断に迷ったときの意見整理など、日常の中で発生する小さな意思決定に使われているケースが多く見られました。
これらはいずれも、正解を求めるというより、自分の考えを整理したり、選択肢を広げたりするための使い方であり、AIが「一緒に考える存在」として機能している点が特徴的です。

 

プライベートでAIに相談されている内容とは

Q. プライベートでオープン型対話AIに相談したことのある内容は?

プライベートでオープン型対話AIに相談したことのある内容は?

(n=302)
※「この内容をAIに相談したことが無い」という回答の低い順から算出

桑野

ここまでのお話を伺うと、AIはかなり身近な存在として使われている印象があります。
具体的には、プライベートではどのような内容を相談しているのでしょうか。

中西

ホワイトペーパーでは、プライベートでAIに相談したことのある内容をランキング形式で整理しています。最も多かったのは「旅行・おでかけプラン」で、次いで「メッセージの返信内容」が続きました。

桑野

人間関係に直結する場面ですね。

中西

そうですね。大学生は、日常的に大学やアルバイト先などで同世代の友人と接する機会が多く、一見すると相談相手には困らなさそうに見えます。
それでも、相手にどう伝えるか、どう返すかといった細かな判断については、
AIに一度聞いて整理する、という使い方が多く見られました。

桑野

友達に聞く前の「壁打ち」のような役割ですね。

中西

まさにその通りです。
ランキング上位にはそのほか、将来のこと、健康、恋愛、趣味、ダイエットや美容に関する情報収集などが並びました。いずれも、深刻な悩みというよりは、日常の中でふと迷ったときに生まれるテーマが中心です。

また注目したいのは、ランキング下位の項目も含め、約半数以上が「AIに相談したことがある」と回答している点です。
この結果から、大学生にとってAIは、特定の用途に限られたツールではなく、
日常生活のさまざまな場面で自然に使われる存在になりつつあることが分かります。

桑野

だからこそ、「AIを友達にたとえる」という回答につながっているのかもしれませんね。

中西

はい。誰かに代わって答えを出してくれる存在というより、
考えを整理したり、選択肢を広げたりするための身近な相談相手として使われている。
この点が、今回の調査で見えてきた大学生とAIの関係性だと考えています。

ただし、AIを全面的に信頼しているわけではない

Q. AIの回答をどの程度信頼していますか ?

AIの回答をどの程度信頼していますか ?

(n=302)

桑野

一方で、AIの回答をどの程度信頼しているかを見ると、慎重な姿勢も見えてきました。

中西

そうですね。調査結果からは、AIの回答をそのまま受け入れるのではなく、参考情報の一つとして活用している様子がうかがえます。便利ではあるものの、最終的な判断は自分で行うという意識が、大学生の中でしっかりと残っています。

桑野

距離は近いけれど、意思決定を委ねているわけではないということですね。

中西

はい。利用が進んでいることと、信頼しきっていることは別です。この冷静さがある点は、大学生のAI活用を理解するうえで重要なポイントだと考えています。

 

学習・課題では「周りが使っている」が前提に

Q.課題・学習目的で周囲のオープン型対話AI利用状況を教えてください。

課題・学習目的で周囲のオープン型対話AI利用状況を教えてください。

(n=302)

桑野

学習や課題の場面になると、周囲の利用状況も大きく影響していそうですね。

中西

その通りです。この結果を見ると、学習面ではすでに「使うかどうか」を選ぶフェーズは過ぎているように感じます。学生が学習面では多かれ少なかれ使用経験があることが前提となり、AIは学習環境の一部として存在しつつあります。

桑野

個人の価値観というより、みんな使っている“当たり前にあるもの”になっているということでしょうか。

中西

AI活用は、個人の意識だけで完結するものではなく、周囲の利用状況や学習環境の影響を強く受けるものになりつつあります。だからこそ、教育現場においても、AIを前提とした環境づくりが重要な視点になってきています。

 

学習目的でAIを使うことへの「迷い」とは

Q.課題・学習目的でオープン型対話AIを使うことについての考えを教えてください。

課題・学習目的でオープン型対話AIを使うことについての考えを教えてください。

(n=302)

桑野

学習面では、効率的だと感じる一方で、不安や迷いを抱えている学生が多い結果となりました。

中西

この結果は、AI活用そのものを否定しているというより、「どこまで使ってよいのか分からない」という迷いの表れだと捉えています。ルールや基準が明確でない中で、学生一人ひとりが判断しなければならない状況が、不安につながっているのではないでしょうか。

桑野

使わないという選択ではなく、使い方に悩んでいる状態ですね。

中西

はい。調査結果を見る限り、多くの大学生はAI活用に前向きです。ただし、その使い方についての共通認識が、まだ定まっていない段階だと考えています。

 

4つのデータから見える「現在地」とは

桑野

ここまでのお話を伺うと、AIはすでに大学生の日常に入り込んでいる一方で、扱い方については模索段階にあるように感じます。

中西

私も同じ印象です。AIは身近な存在になりつつありますが、使い方や距離感はまだ定まりきっていません。現在は、AIとの向き合い方を社会全体で探っている過渡期だと言えるでしょう。

桑野

使わないという選択ではなく、使い方に悩んでいる状態ですね。

中西

はい。調査結果を見る限り、多くの大学生はAI活用に前向きです。ただし、その使い方についての共通認識が、まだ定まっていない段階だと考えています。

AI活用は、個人の意識だけで完結するものではなく、周囲の利用状況や学習環境の影響を強く受けるものになりつつあります。だからこそ、教育現場においても、AIを前提とした環境づくりが重要な視点になってきています。

詳細な分析や示唆はホワイトペーパーで

今回の調査からは、大学生がAIを身近な存在として受け入れながらも、特に学習シーンでは判断基準を模索している実態が見えてきました。

本記事では調査結果の一部をご紹介しましたが、具体的にどのような場面でAIが使われているのか
なぜ学習では迷いが生まれやすいのか教育機関や企業はこの状況をどう捉えるべきかといった点については、ホワイトペーパーで詳しく解説しています。

大学生とAIの関係がまだ定まりきっていない今だからこそ、判断材料として、ぜひホワイトペーパーをご活用ください。

 

ダウンロード資料のご案内

ダウンロード資料では、本記事ではAIの利用頻度やAIを使用した際の経験などについてもご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。下記ボタンよりご請求いただけます。

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【インタビュー】Z世代のリアル恋愛トークから読み解く、等身大の恋愛観とは?│「感情」が動くマーケティング

Z世代の恋愛は「始め方」が変わった?
大学生・社会人に聞く、出会いと付き合い方のリアル

Z世代の恋愛は「始め方」が変わった?
大学生・社会人に聞く、出会いと付き合い方のリアル

Z世代ならではのマッチングアプリやSNSでの出会いはある?

恋愛に対する価値観は、時代や環境の変化とともに少しずつ形を変えています。
「今の若者は恋愛に消極的」と言われることもありますが、実際には恋愛をしなくなったというより、始め方や向き合い方が変わってきているようにも見えます。
今回の座談会では、大学生・社会人の若者2名に出会いのきっかけやマッチングアプリとの距離感、付き合う際の判断軸、恋愛を日常の中でどう位置づけているのかについて、率直に話を聞きました。

前編では、恋愛の「入口」となる部分に焦点を当て、今、若者たちがどのように出会い、どんな基準で関係を築こうとしているのかをひも解いていきます。

 

登場マーケターのプロフィール

中西 舞(なかにし・まい)|株式会社マイナビ

中西 舞(なかにし・まい)|株式会社マイナビ

コンテンツメディア事業本部 マーケティング部ディレクター。
大学生向けメディア『学生の窓口』の立ち上げに関わり、デジタル・アパレル・金融・食品・医薬化粧品など多様な業界の広告企画を担当。
現在は大学生をはじめとしたZ世代向け案件を中心に、年間約200件以上のプランニングおよび営業同行を行う。

桑野 好絵(くわの・このえ)|株式会社マイナビ

桑野 好絵(くわの・このえ)|株式会社マイナビ

2007年マイナビ入社。
女性向けメディアや若年層トレンド領域に従事し、現在は『マイナビニュース』『マイナビウーマン』などの広告企画を担当。
Z世代に特化した調査チーム「マイナビティーンズラボ」のプランニングやデータ解説、企業向けの講演も行う。
高校1年生の息子を育てる母として、「調査データ」と「リアルな声」の両面から若者インサイトを掘り下げている。

 

座談会出席者

高木さん(女性/大学2年生)※仮名

高木さん(女性/大学2年生)※仮名

井田さん(男性/社会人1年目)※仮名

井田さん(男性/社会人1年目)※仮名

 

思ったより恋はしている?若者たちの現在地

桑野

最初にシンプルなところから聞かせてください。今、恋人はいますか?

高木さん

います。つい最近付き合い始めました。
9
月まで1年半付き合っていた彼氏と別れて、そのあと友達からの紹介や合コンで、15人くらい会いました。でも、正直あまりピンとこなくて。
最終的にはマッチングアプリで知り合った、同じ大学の人と付き合っています。

中西

15人と会うのはすごく行動力がいりますね。その中でも同じ大学という点は、やっぱり大きかったですか?

高木さん

大きいです。大学生同士のほうがいいなと思っていましたし、同じ大学であれば共通の話題も多いですし、授業の情報とか悩みとかも話せます。

桑野

たまたま同じ大学の人と出会えたんですか?

高木さん

友達に勧められて、大学名がわかるマッチングアプリを使いました。学生限定だし、みんな自分の学校名を出すので安心感もあって使ってよかったです。

中西

大学生・専門学生にアンケート調査をしたところ、マッチングアプリを利用したことがない人が7割を超えていたので、高木さんがアプリで恋人を見つけたと聞いて少し意外でした。

高木さん

周りでも使う人と絶対使わない人と半々くらいですかね。でもさっき言ったような大学生向けのアプリなども出てきて、少しずつ使ってもいいかなって子も増えてきたような気がします。

桑野

アプリを利用する人がじわじわ増えてきたんですね。周りの友達の恋愛状況はどんな感じですか?

高木さん

ちょうど同じタイミングで別れた人が多くて、私を含めて9組くらいが一斉に別れていました。

でも、そのあとマッチングアプリを始めた友達のうち、3組くらいはすぐ付き合い始めていました!恋愛にそこまで前向きじゃなさそうな子も使っていました。

中西

学生認証があることへの安心感はありましたか?

高木さん

ありました。そこは結構大きかったです。

桑野

井田さんは、今恋人はいらっしゃいますか?

井田さん

います。先月で3年目です。大学時代から付き合っていて、高校は同じでしたが、当時はほとんど関わりがありませんでした。
高校3年の体育祭で初めてちゃんと話して、写真を撮って連絡先を交換しました。大学は別々です。

中西

井田さんは学校という同じコミュニティで出会って交際という流れですね。アンケートでも出会いの場は圧倒的に学校が多かったです。

井田さん

まあ王道な流れかなとは思いますね()

高校が同じという共通点があるので共通の友人も多くてお互いなんとなく人となりが分かる。そういう安心感も交際に至りやすいのかもしれません。

桑野

結果として、大学、就職とライフステージが変わっても長く交際が続いていますもんね。

 

マッチングアプリは選択肢の一つになりつつあるのか

マッチングアプリは“選択肢の一つ”になりつつあるのか

真剣な出会いを求めマッチングアプリに登録するZ世代も増えている?

中西

マッチングアプリについて、高木さんの周りではどのくらい使われていますか?

井田さん

肌感なんですけど知り合いだけでも10人くらいは使っています。
僕自身も友達に勧めることはあります。自分は使っていないけど周りでパートナーを見つけた友達がいたりすると、ほかの友達に「出会いが無いなら使ってみたら?」とか言うこともあります。

桑野

使っている人の印象はどうですか?

井田さん

ぶっちゃけると、遊んでいる人もいます。
男友達にもかなりカジュアルに出会いを楽しんでいる人は少なからずいますね。

桑野

それは男性側だけの話ですか?

井田さん

それが意外と、女の子で、ひとり暮らしで寂しくて人を呼んでしまう、という話も聞きます。
正直、最初は「遊びたい男性」が多いというイメージを持っていたので、そこはビックリしました。

中西

高木さんは実際にアプリを使って、その印象は変わりましたか?

高木さん

変わりました。正直アプリによっては今でも遊びのイメージが強いものもありますが、真剣な人も増えてきて、全体的には前より信頼されてきていると思います。

桑野

ジャンルがジャンルだけに、信頼できるアプリじゃないとなかなか人には勧められないですよね。

中西

井田さんの周りではどうですか?

井田さん

自分は使っていませんが、社会人になってから周りで使う人はかなり増えました。
出会いの場が減るので、いろいろな条件でマッチした人と出会えるのは合理的だと思います。

桑野

学生の頃と比べて、印象は変わりましたか?

井田さん

大学12年の頃は、正直あまりいいイメージはなかったです。
遊びの印象が強かったですが、最近は真剣な恋愛をしたい人が多いアプリも増えて、抵抗は減りました。
今は、メジャーなアプリとかになると真剣交際を求めている人が多そうな印象です。

中西

井田さんにとってメジャーだと感じる恋愛アプリの基準って何でしょうか?

井田さん

テレビやWebでCMが流れているとメジャーだな、ちゃんとしてるんだろうなと思いますね。安直ですけど。()

 

恋愛に求めるのは、ときめきよりも安心感。その心理とは?

桑野

次に、付き合うときに相手に求めるものを聞かせてください。

高木さん

「好きな人」と「彼氏にしたい人」は別だと思っています。
好きな人にはドキドキやワクワクを求めたいけど、それだけでは付き合えません。
彼氏にしたい人は、一緒にいて楽しくて、素を出せる人です。

中西

「素」というのは、どういう状態ですか?

高木さん

矛盾してるかもしれないんですが、「素」っていっても使い分けてるかもしれない……。
友達の前だとガハガハ笑ったり、オールでカラオケに行ったり、すこし汚い言葉も使ったりします。
恋愛ではそこまで崩れすぎず、でも愛情表現はちゃんとできる、ちょうどいい距離感の素です。

桑野

井田さんはいかがですか?

井田さん

最初は、趣味や価値観が合うかどうか、会話していて波長が合うかどうかを見ます。恋愛に求めるものとしては、落ち着きが一番大きいです。
喋らなくても気まずくならない関係がいいです。

 

人生における恋愛の優先度は?振り回されない関係を選ぶ、という価値観

人生における恋愛の優先度は?振り回されない関係を選ぶ、という価値観

Z世代が求めるどちらかが一方的に振り回されない恋愛とは?

桑野

恋愛は、人生の中でどのくらいの位置づけですか?

高木さん

順位はつけていません。
大学ではいろいろなプロジェクトをやっていますし、全部やりたいと思っています。正直、全部やろうとして体調を崩したこともあります。

中西

理想と現実で違いはありますか?

高木さん

理想は、会っていない時間はそれぞれ別のことに集中することです。
でも実際は、恋愛のことが気になってしまうこともあります。
神社で最初にお願いするのは家族のこと、その次が自分の将来のことです
恋愛はもちろん大切だけど心のどこかで、「どうにでもなる」と思っています。

桑野

友達とはどんな話をしますか?

高木さん

結局、恋愛の話が多いです。たかが恋バナと思われるかもしれないですけど、
恋愛の話をしていると、そこから生き方や考え方の話になっていって面白いなと思います。
友達の人生観が分かって、そういう考え方もあるんだ!と自分の視野も広がりますよ。

中西

井田さんはいかがですか?

井田さん

平日は仕事に集中して、休日は一緒に過ごす、という形です。順位はつけていませんが、1週間の中で自然に調整しています。

桑野

恋愛に振り回される感覚はありますか?

井田さん

あまりないです。
今の彼女はお互いの距離感の取り方が似ているので、その点も含めて落ち着いています。

 

前編まとめ~Z世代が大切にしているのは「関係性のバランス」~

今回の座談会前編では、出会い方や付き合う際の判断軸、恋愛の優先度について話を聞きました。

マッチングアプリや学校など、出会いの形は多様化していますが、共通していたのは「安心感」や「無理のなさ」を重視している点です。ドキドキする気持ちや勢いよりも、一緒に過ごす日常が具体的に想像できるかどうかが、付き合うかどうかの判断につながっているようです。

また、恋愛は大切な存在ではあるものの、学業や仕事、友人関係と並ぶ「生活の一部」として位置づけられている点も印象的でした。最優先ではないからこそ、恋愛だけに依存せず、自分の時間や人生設計とのバランスを取りながら関係を築こうとする姿勢が見えてきます。

こうした価値観を前提にすると、Z世代にとって恋愛は盛り上げるものというよりも、無理なく続けられるものへと変化していると言えそうです。
マーケターにとっては、恋愛を過剰にドラマチックに描くよりも、安心感や信頼感が自然に伝わる表現のほうが、今の若者の感覚にフィットしやすいのかもしれません。

後編では、こうした恋愛観が、SNSの使い方や将来設計、結婚やお金の感覚とどのようにつながっているのかを掘り下げていきます。

Z世代の恋愛観を探る─大学生・専門学生恋愛調査から見えた価値観│「感情」が動くマーケティング

派手な恋より、心地よい関係へ

Q. あなたは現在、恋人がいますか?(単一回答)

Q. あなたは現在、恋人がいますか?(単一回答)

(n=241)

大学生・専門学生を対象とした今回の恋愛調査では、現在進行形も含めて、約7割を超える人が「恋人がいた、もしくはいる」と回答しました。
近年、「若者の恋愛離れ」がメディアでたびたび語られていますが、少なくとも今回の結果を見る限り、Z世代の恋愛離れは大人が想像するほど進んでいないのかもしれません。
本調査を通して、恋愛に対する関心度や価値観、理想とする関係性など、さまざまな側面が見えてきました。そこから浮かび上がってきたのが、彼らならではの現在の“恋愛観”です。

そして、その恋愛観の背景には、彼らが育ってきた時代環境社会状況が少なからず影響しているようにも感じられます。本記事が、Z世代の価値観をひも解くための一つのヒントになれば幸いです。

恋愛意欲は低くない。しかし無防備ではない

Q. 恋愛への関心度を教えてください。(単一回答)

Q. 恋愛への関心度を教えてください。(単一回答)(n=189)

恋愛への関心は決して低くない

調査では、「できれば恋愛したい」という学生が半数以上に。この数字は、恋愛への意欲の低下ではなく「いい相手がいれば」すなわち「慎重な選択性」を示しているのではないかと思いました。

前段でもお話した通り、Z世代は“恋愛に興味がない”のではありません。むしろ、恋愛の持つ責任や、リスクまで理解しているため、安易に踏み出すことはしない。
「好きなら突っ走る」のではなく、「安心できる距離から関係を育てる」。これは恋愛観だけではなく、社会的な人間関係の構築にも見れるZ世代の特徴かもしれません。

 

出会いは大学というリアル空間が圧倒的多数

 恋人(または好きな人)と出会ったきっかけを教えてください。(複数選択可)※過去も含めてお答えください。

 恋人(または好きな人)と出会ったきっかけを教えてください。(複数選択可)※過去も含めてお答えください。

(n=189)

出会いの主流は学校などリアル空間

恋愛経験のある大学生・専門学生のうち、出会いの場所では、学校(授業・ゼミ・サークル・部活など)が68%と圧倒的でした。これは単に“身近”という理由だけではなさそうです。
学校というリアルな空間では、相手の振る舞いや態度、人としての倫理観を直接見ることができ、より相手の中身を知ったうえで恋愛関係に進めることができる、そこが慎重なZ世代にとってマッチしているのでしょう。

それは数字にも表れています。Z世代といえばSNS世代と言われていますが、それでもSNSでの出会いもマッチングアプリでの出会いも10%に満たない。“デジタル上での人物像は、必ずしも本人そのものを表しているわけではない”、それを知り尽くしているのもZ世代なのかもしれません。こうした背景から、出会いを「恋の入口」ではなく「信頼の入口」と捉えている側面がうかがえます。

マッチングアプリに“怖さ”を感じるのは、健全なリテラシー

Q. マッチングアプリを利用したことがありますか?(単一回答)

Q. マッチングアプリを利用したことがありますか?(単一回答)

(n=189)

アプリは知っているが、距離を取っている印象

Q. マッチングアプリを利用しない理由を教えてください(複数選択可)

Q. マッチングアプリを利用しない理由を教えてください(複数選択可)

(n=140)

デジタルネイティブであるがゆえのデジタルへの怖さが垣間見える

アプリ経験のない学生の中で、「怖い・トラブルが心配」が約60%に上ります。この“怖さ”は漠然とした感情ではなく、社会背景が原因かもしれません。

Z世代は10代の頃から、炎上、晒し文化、デジタルタトゥー、リベンジポルノ、なりすましなどの事例を実際に目撃・学習してきました。だからこそ、大人が想像するよりも慎重に恋愛における「情報距離」を設計しようとします。これは臆病なのではなく、社会的に合理的な適応行動とも言えます。

 

いまの大学生の金銭感覚から見える恋愛消費とは

 恋愛に対し慎重で堅実なZ世代のインサイトが見えてきたところで、恋愛にかかるコストの意識はどうでしょうか。

Q.1回のデートで使う平均金額(自分の支払い分)をお答えください。(単一回答)

Q.1回のデートで使う平均金額(自分の支払い分)をお答えください。(単一回答)

(n=189)

日常デートは無理のない金額帯が中心

Q.特別な日のプレゼント(誕生日・クリスマスなど)にかける平均金額をお答えください。(単一回答)

プレゼントの金額

(n=189)

恋愛に使う金額については、
・月間デート費用:1,000〜4,000円台が最多
・プレゼント:5,000〜9,999円が最多
という結果でした。

2025年のマイナビの調査によると、大学生のアルバイト収入は月5万円前後が平均的な水準とされており、住まいの形態によっては生活費とほぼ同程度になるケースも少なくありません。恋愛や趣味に使えるお金に大きな余白があるとは言いづらい状況の中で、現実に即した合理的な判断だと考えられます。

限られた条件の中で、派手な消費や演出に頼らず、日常の延長線上で安心して続けられる関係を選んでいる。そこには、価値観だけでなく、いまの日本社会を生きる若者としての現実対応が色濃く表れています。派手さよりも、安心感や心のゆとりを大切にする姿勢が、消費行動にも表れているのではないでしょうか。

Z世代の恋愛の本質は合意形成

Q. 恋愛において相手に最も求めるものを1つ選んでください。(単一回答)

相手に求めるもの

(n=182)

Q. 恋愛をする目的に近いものを選んでください。(単一回答)

恋愛の目的

(n=182)

恋愛の目的は「一緒に過ごす時間」と「将来」

今回の調査から、恋愛とはふたりの関係を合意のもとで設計していくプロセスであるといえます。

恋人と一緒に楽しい時間を過ごしたい」「将来の結婚を意識して」が上位を占め、恋愛を刺激やステータスとして捉える回答は少数でした。
恋愛は、関係そのものを大切にする行為として位置づけられているようです。これらを自然に行っている点で、(一人ひとりの個性や性質はあれど)Z世代は社会心理的に非常に慎重で注意深い部分を持ち合わせていると言えるでしょう。

結婚とは恋愛の延長線上にある持続可能な仕組み

Q. 結婚についてどう考えていますか?(単一回答)

Q. 結婚についてどう考えていますか?(単一回答)

(n=189)

結婚は目的ではなく信頼を築けたうえで成り立つ選択肢

今回の調査では、結婚について「将来的にはしたい」と考えている人が多数を占めました。
ただし、その内訳を見ると、「できるだけ早くしたい」という声よりも、「いつかはしたい」「良い相手がいれば」といった、時間や条件に幅を持たせた捉え方が中心となっています。Z世代にとって結婚は、「する・しない」を即断するものではなく、関係の質を確かめた先にある選択肢のひとつとして捉えられているように見えます。

価値観の一致、誠実さ、相互理解といった恋愛の重要要素がそのまま結婚にも求められるのは、「安心の設計」という一貫した行動原理があるからなのかもしれません。

この価値観にも時代背景が影響していると感じます。Z世代(大学生・専門学生)は2000年代に幼少期を過ごし、「3組に1組が離婚する」と言われるような日本の社会環境の中で育ちました。Z世代は結婚を“永遠に続く幻想”ではなく、“努力して育てる現実的な関係”と捉えているのかもしれません。恋愛を丁寧に設計する視点と、結婚を“持続可能な関係”と捉える視点は、一本の線でつながっているのです。

恋愛消費に求めるのは、“盛る”よりも“生活に置けるか”で考える

Z世代の恋愛消費は、非日常よりも日常の延長線
だからこそ広告の世界観も、映画のワンシーンのような特別感より「これ、普通の日にありそう」と思えるリアリティが受け入れられすいと言えます。

  • 実際に使っているシーン

  •  背伸びしない選択

  •  等身大の何気ない感情の揺れ

こうした生活解像度の高い描写が、共感を生みやすくなります。実際に恋愛文脈で共感を生んでいる広告の共通点を見ても

  • 恋を煽らない

  •  成功体験を押し付けない

  •  一瞬のときめきをゴールにしない

代わりに、

  •  距離を測る時間を肯定(恋愛に至るまでの過程を描く)

  •  迷い・不安・慎重さをリアルに描写

  • 「続けられる関係」を前提に同じ目線でモノ・コトを選ぶ描写

こうした流れから見てみると、Z世代向け恋愛広告は、「恋をさせる」より「関係を壊さない」設計が効く。
だからこそ、派手な愛情表現より、穏やかだけど共感できるリアルな描写が選ばれているのかもしれません。

次回は実際にZ世代の男女を迎えて恋愛に関するリアルトークの様子をお届けしたいと思います。

  • 調査対象

    18~25歳/専門学生、短期大学生、大学・大学院生

  • 有効回答数

    241件(内、これまで恋人がいた経験がある人:189件)

  • 調査時期

    2025年12月

  • 方法

    インターネット調査

「界隈消費」から読み解くZ世代と令和の消費構造vol.3「感情」が動くマーケティング

界隈は、“ゆるやかなネットワーク”から“経済を動かす市場”へ

界隈消費とは?

昨今“界隈”とは、好きなものが共通している仲間のネットワークや、言葉やミームのトレンドなど、様々な意味で若年層に使われる言葉となりました。
そして、Z世代の動向を追いかける上で外すことのできない“界隈”は、今や市場として大きな価値を持ちます。

2回では、SNSを媒介として熱量が社会に波及していく仕組みを整理しました。そして最終回となる今回は、界隈がトレンド認知を超えて経済圏になるメカニズムを扱います。

結論から言うと、界隈はZ世代が文化をつくり、Z世代より上の大人世代が市場にする構造」で成長します。
この“界隈”を経済に変える鍵について、紐解いていきます。

 

Z世代が文化をつくり、大人世代が市場にする

Z世代から生まれる界隈消費

2025年はZ世代発信で様々な界隈が生まれ市場にも影響。

界隈の起点はやはりZ世代です。
2025新語・流行語大賞にもノミネートされている「平成女児」を筆頭に、推し活、キャラクター消費など、Z世代を中心に広がり市場として成長した文化がいくつもあります。

そしてその文化に共鳴した大人世代が参加し、市場はさらに拡張します。
平成女児ブームを例にすると、平成に中高生だった大人が今の平成ブームに自分の過去や経験を持ち込み、消費者として参加することでブームの消費圏を広げ、市場として大きくなっていった事象がまさにそうです。

前回もお話した通り、つまり「Z世代は文化を作り、大人世代は経済へと育てる」。
界隈はもはや若者だけのものではなく、世代を横断して育っていくことで、大きな消費ブームに育っていきます。

 

共感経済圏の成長プロセス

Z世代の何気ない投稿から生まれる界隈もある

Z世代の何気ない“好き”の発信が大きな市場になることも。

界隈が経済圏になるプロセスは次のように整理できます。

1)思いや共感、好きなもの、関心事、カルチャーなど、好きな世界観を持つもの同士の存在が顕在化

2)仲間化(界隈化)が起きる 

3)再編集・拡散によって界隈が成長

4)大人世代を巻き込んで“市場”として成立する 

5)購買と体験が“経済圏”として立ち上がる 

消費を伴う界隈をターゲットとして、新たな市場へ開拓するためには、ターゲット集団を特定することが基本です。
その界隈が共通でもつ世界観を理解し、どのような人達が界隈を形成しているのか解像度を上げていくことで、界隈内でのニーズを把握することができます。
一度、その界隈の中に参加してみるのもリサーチ手法として有効ですね。

ターゲットが見えてくると、その界隈が抱える課題やニーズが見えてきます。そこまで来たら、どのような商品・サービスを求めているのか、分析していきましょう。
界隈が楽しめる仕組みを作り、再編集・拡散によって界隈内のUGCを増やしていき、界隈外へと波及させていく。
これが市場・経済圏へ育てる第一歩になります。

SNSを通じて複雑に成長・派生していく界隈を把握するのは簡単なことではないです。
ですが、界隈消費を理解するためには、界隈自体を理解することが最も近道となるのも自明の理です。

 

平成レトロとはZ世代が発見して大人が育てたマーケット

大人も子供もハマる平成レトロ

Z世代も大人も夢中になっているシール帳ブーム。引用 https://www.sanrio.co.jp/news/goods/mx-sticker-book-202407/

令和元年(2019年)頃より、平成時代のアイテムやカルチャーが「平成レトロ」として再評価されるようになったのは記憶に新しいのではないでしょうか。
前述のとおり、この平成レトロブーム(平成女児ブーム)は、まさにZ世代から火がつき、大人世代へと広がっていった例です。

Z世代が平成の時代に流行った物やカルチャーを再評価したことで、当時流行ったファッションやキャラクターなど、関連グッズやコンテンツの消費が成長。
平成の時代に青春時代を過ごした上の世代が参加したことで、大きな経済圏へと発達していきました。

この事例からも分かる通り、界隈を扱う上で誤解が生まれやすいのは、「若者向け施策だから若者が買う」という発想です。
界隈は若者発であっても若者市場”とは限りません。文化の育て手がZ世代であり、購買主体が大人になることもあります。

ここまで読んでいただければわかる通り、ひとくちに“界隈”と言っても、そこに集う人達の属性や思いは様々です。
ターゲットやニーズを見誤り、安直に界隈内のUGCを集めることを目的として施策を行えば、界隈からの信頼を失うことにも繋がります。

界隈のターゲットの解像度を上げ、ニーズを読み解き、界隈に求められる商品・サービスを提示することが界隈消費を動かす鍵になります。

 

界隈は市場の苗床である、そして消費者の感情を持った火種でもある

界隈は「小さな熱」ではなく、“育つ熱”です。
Z世代は文化をつくり、それを大人世代は市場にする。平成レトロ界隈のような一種のノスタルジーという感情を乗せて。

この世代連鎖こそが界隈が経済圏へ成長する本質なのかもしれません。

【最新調査】ティーンが選んだ「2025年に流行った食べ物」から見える今年の空気│「感情」が動くマーケティング

2025年の空気感とティーンの“流行った”の捉え方

\全体の調査結果や解説記事はこちら/

 

Q.2025年(今年)流行ったと思う食べ物を最大3つまで教えてください


(※「2025年に流行ったフードに関する調査」)

2025年、ティーンが「今年流行った」と感じた食べ物が、ひとつのランキングとして数字に表れました。まず、みなさんの予想と比べていかがでしたでしょうか。「そうだろうな」と感じるものもあれば、「意外」と思う項目もあったかもしれません。
振り返ると、この一年は物価高の影響もあり、日常の中で“気持ちよく選べるもの”が重視されていたように思います。背伸びしすぎず、でもちょっと嬉しい。そんな“ささやかな豊かさ”を探す姿勢が、生活全体に静かに広がっていた年でした。

“よく見かけた”が流行を決める?ティーンの可視性インサイト

今回の「流行ったと思う食べ物」を見ていると、実際に食べた経験があるかどうかより、よく目にしたもの話題として何度も触れたものが強く上位に現れている印象があります。
ティーンにとっての“流行った”は、味覚よりも、その食べ物が一年の景色の中でどれくらい存在感を持っていたかが影響しているのかもしれません。

(※「2025年に流行ったフードに関する調査」)

1位はインフルエンサーの出店などでも広く知られたアサイーボウル。
日常の“良い時間”の背景に登場する機会が多く、視界に入る頻度の高さがそのまま流行認知につながったのだと思います。

2位のもっちゅりんは、体験より話題が先行したタイプの流行だったのかもしれません
“名前をよく聞いた”“動画で見かけた”
といった共有された情報が強く働いたSNS先行のブームの良い例です。

3位の麻辣湯は、もはやティーンだけではなく健康志向の働く女性にも強く支持され不動の地位に。
“自分で選べる”“カスタムできる”といった体験価値が支持されたのではないでしょうか。
注文のプロセスそのものが特別な時間になり、参加感が流行認知なるという新しい食のブームの形態が生まれました。

4位はドバイチョコ。
非日常性や海外の空気を取り入れたいという感覚と相性がよかったのかもしれません。“新しい世界を少し覗く”ような体験が魅力として受け取られた可能性があります。

5位のグリークヨーグルトは、手軽なヘルシーさが今年のティーンの気分に合っていたのかもしれません。
“過度に頑張らない健康意識”が広がる中で、生活に無理なく置ける存在として支持されたのではないでしょうか。

 

2025年ティーンの食行動に見える“無理しないヘルシー志向”

TOP5を振り返ると、無理をしないヘルシーさを求める気分が、ティーンの食選びにほんのりと滲んでいた可能性があります。
ルッキズムへの違和感が広がる一方で、「自分らしくありたいけれど太りたくはない」という複雑な気持ちも背景にあるのかもしれません。
アサイーやグリークヨーグルトのような“軽さのある満足感”が支持されたのは、自然な流れとも言えそうです。

 

この先に続く“行動としての選択”へ

そしてこのランキングはここで終わりではありません。このあとには「実際に食べたもの」や「また食べたいと思うもの」など、ティーンの日常により近いランキングが続きます。

“景色としての流行”と“行動としての選択”がどのように重なり、どこでズレていくのか。
その続きを見ることで、今回のコラムでは触れきれなかったティーンの“本音の部分”が浮かび上がるかもしれません。

 

\さらに詳しい調査結果はこちら/

調査資料ダウンロードはこちら

未完成がちょうどいい。2025トレランが映す“10代の今”│「感情」が動くマーケティング

“モノが売れる理由”は、価格や機能だけじゃない。心が動く瞬間にこそ、消費の本質があります。
この連載では、日常のなかのちょっと気になるトレンドをテーマに、マーケターの視点からその背景やヒントを紐解いていきます。

登場マーケターのプロフィール

中西 舞(なかにし・まい)|株式会社マイナビ

コンテンツメディア事業本部 マーケティング部ディレクター。
大学生向けメディア『学生の窓口』の立ち上げに関わり、デジタル・アパレル・金融・食品・医薬化粧品など多様な業界の広告企画を担当。
現在は大学生をはじめとしたZ世代向け案件を中心に、年間約200件以上のプランニングおよび営業同行を行う。

桑野 好絵(くわの・このえ)|株式会社マイナビ

桑野 好絵(くわの・このえ)|株式会社マイナビ

 

2007年マイナビ入社。
女性向けメディアや若年層トレンド領域に従事し、現在は『マイナビニュース』『マイナビウーマン』などの広告企画を担当。
Z世代に特化した調査チーム「マイナビティーンズラボ」のプランニングやデータ解説、企業向けの講演も行う。
高校1年生の息子を育てる母として、「調査データ」と「リアルな声」の両面から若者インサイトを掘り下げている。

 

リアル・世界観・AI。10代女子の価値観が一段シフトした年

中西

桑野さん、今年のトレンドランキングが発表されました。かなり象徴的な結果でしたよね。まずは今年の総評から伺えますか?

桑野

2025年はAIが一気に日常レベルで進化したのもあって、デジタル環境そのものの“空気”が変わった1年だったと思います。SNSでも“盛る・映える”より等身大のゆれが求められるようになった印象です。

 

未完成さや人間らしさが“価値”になる時代へ

ヒト部門

中西

今年は、あと、「今日、好きになりました。」が強かったですね。MON7AさんやHANAさんなど“世界観そのもの”が支持された印象があります。

桑野

たしかに!長浜広奈さんやMON7Aさんも含めて、“完璧なスター”じゃなくて“物語や感情の手ざわりが伝わる存在”が強い支持を集めた感じがします。

中西

デジタルが洗練されたことで、“未完成さ”や“温度のある表現”に価値を見いだす動きがより際立ちましたね。

桑野

“整いすぎない世界観”とかさ。“寄り添う感じの空気”が刺さるんだよね。
今年のランキングって、まさに “等身大を大切にする流れ” を象徴してたと思う。

 

世界観ごと好きになれる人が人気者に。

中西

ヒト部門は特に“空気感”が大事になっていました。これも今年の象徴的な流れですね。

桑野

“この人の世界観好きだわ”ってところからファンになる。ビジュアルだけの時代じゃない気がします。
 その人の背景も含めて、まとっているオーラも見られる。 

中西

日常の色味、言葉遣い、生活感……。すべてが“その人の物語”として受け止められている感じがあります。

桑野

しかも作り込んでない。それが逆に魅力になる可能性。“生活の延長線にある世界観”に魅力がある人が求められていると感じます。

 

AI:ChatGPTがランクインした意味とは?

コトバ部門

中西

そしてChatGPTのランクインは非常に象徴的でした。

桑野

これは今回の大きなトピックですね。10代女子の“好きなモノ”にAIが入るって転換点。相談相手みたいな距離感っていうのもおもしろい。

中西

“友達ほどじゃないけど聞いてほしい”ってときにAIがちょうどいい。ジャッジされないし、裏切らない安心感 があります。心理的安全性としてのAIですね。

 

デコって自分の印にする”文化が広がった

中西

今年は“デコるアイテム”の人気がすごく顕著でした。ラブブ、めじるしアクセサリー、日焼けキティなど。

桑野

めっちゃ象徴的ですよね。“自分だけの印” を楽しむって流れが一気に広がったよね。

中西

私のような平成世代は懐かしくて萌えましたよ(笑)
通学バッグに大ぶりチャームを重ね付けしたり、平成テイストのアクセントが“自分らしさの表現”になっているように見えました。

桑野

わかる。10代の子たちってデジタルが当たり前で、効率化された世界に慣れすぎてる反動かもね。
こういう “余白のある可愛さ” “遊び心のあるアクセント” がすごく心地いいんだと思う。

 

映画の人気復活。“エンタメ×おでかけ”の体験価値

中西

個人的に意外だったのは、“映画”の人気です。サブスク全盛の時代に、あえて映画館へ足を運ぶティーンが増えているのは象徴的でした。

桑野

そこ!私もびっくりした。
でも考えたら、“誰かと一緒に映画館に行く”って、それ自体がひとつのイベントになっているよね。

中西

1,000円前後で楽しめる“コト消費”として、物価高の中でもコスパの良い“おでかけ体験”になっていますね。

桑野

しかも、映画の後に語りあえる。“語れる時間まで含めて価値”っていう10代の感覚がすごく出てると思う。

中西

“映えスイーツ”がやや落ち着きを見せているのも興味深かったです。価格と満足度を冷静に見ながら、本当に好きなものへお金を使う方向へ変わっています。

桑野

うん。10代の消費感覚って、実はめちゃ現実的で賢いよね。

 

10代女子の“今”=世界観×等身大×AI×体験

中西

今年のランキングは、10代女子の“価値の置き場”がどこにあるかを明確に示していましたね。

桑野

うん。等身大の世界観、自分らしさのデコ、AIという寄り添う存在、語れる体験。全部つながってる。

中西

効率化の先に、“ゆれ”“余白”“寄り添い”が求められる時代になったということですね。

桑野

“人間らしさ”がめっちゃ価値になった年だったと思います。

中西

人間らしさ、まさにZ世代にとってそこがまた新鮮で面白いと感じるポイントですね。来年のトレンドランキングもまた新しい発見がありそうで楽しみです。

「界隈消費」から読み解くZ世代と令和の消費構造vol.2│「感情」が動くマーケティング

モノが売れる理由”は、価格や機能だけじゃない。心が動く瞬間にこそ、消費の本質があります。
この連載では、日常の中のちょっと気になるトレンドをテーマに、マーケターの視点からその背景やヒントを紐解いていきます。

今回は 「界隈消費」 

今話題の界隈消費について、全3回にわたって考察していきます。

前回の記事はこちら

「界隈消費」から読み解くZ世代の気持ちの動き方
~Vol2.SNSが繋ぐ界隈と社会 拡散する小さな熱狂~
 

消費も動かすZ世代の熱はいったいどこまで広がるのか

界隈の熱はどこへ向かうのか?

前回の「界隈消費は若者文化を越えた。Z世代が動かす共感経済」では、Z世代の“好き”や“共感”が可視化され、世代を越えて経済を動かす構造を見てきました。界隈消費は、単なる若者の流行ではなく、共感を軸に広がる社会の新しいかたちでした。

では、その共感はどのように広がり、社会を巻き込んでいくのでしょうか。

誰か一人の「好き」や「こだわり」が、どうやってトレンドへと変わるのか。そして、なぜZ世代の界隈発信が、世代を超えて購買を動かすまでに成長するのか。

その鍵を握っているのが、SNSという共感のハブ です。界隈で生まれた“小さな熱狂”が、SNSを通じて拡散し、社会に波紋を広げていきます。

第2回では、SNSがどのように界隈と社会をつなぎ、共感を増幅させているのかを整理します。

SNSが界隈消費を加速させる仕組み

SNSでは、毎日のように新しい「○○界隈」が生まれ、一部の熱狂が突然“トレンド”へと変わります。Z世代はモノを“見せびらかす”のではなく、それと過ごす時間や空気感を共有する傾向があります。 
例えばコスメひとつにとっても、その商品そのものがその日の自分のテンションを上げるアイテム。最近では韓国コスメメーカーをはじめ、パッケージのデザインに徹底的にこだわる企業が増えています。所有することで複数のメリットを感じることができる、そんなアイテムが界隈消費を加速させるのではないでしょうか。

つまり消費は「所有」することだけにとどまらず、“どんな時間やどんな気持ちをもたらしてくれるのかというQOLの表現になっているのかもしれません。
これがまさに今まで唱えられていて捉えることができなかった、モノ消費ではなく、トキ・コト消費を可視化した現象だと言えそうです。

さらにSNSのアルゴリズムが、「好きな人が好きなもの」を可視化し、同じ熱量を持つ人同士をつなぐことで共感の連鎖を加速させます。

モノを買うことは、そのコトやトキを満たすかどうかも大事な時代

拡散する“小さな熱狂”の事例

いくつかの代表的な界隈発トレンドは以下の通りです。

・Y2Kファッション:Z世代の再解釈がInstagramで拡散。“新しいレトロ”として古着市場も活発に。

・平成リバイバル :TikTokの楽曲・アニメから火がつき、グッズやアパレルへ派生。懐かしさ×新しさのリミックス。

・健康キャンセル界隈メシ(#トゥーンバ #どん兵衛油そばアレンジ):たまには欲望のまま食べたいものを食べる、チートデイが若者のライフスタイルに馴染みつつある。

「界隈」から「社会」へ広がるプロセス

Z世代から生まれた界隈消費が社会的ブームになることも多々ある

無数に生まれては消えていく界隈。
そのすべてがブームになるわけではありません。
界隈消費が社会に定着し、「スタンダード」と呼ばれるまでには、いくつもの段階を経て“残っていくもの”と“消えていくもの”が分かれていきます。

 1.個人の“好き”が発信される  

 2.共感した人が“仲間”として再発信   

  3.他界隈・大人世代が“面白い”と感じる  

  4.企業・メディアが注目し、商業化  

  5.“界隈発”が“社会発”へ進化  

界隈がブームへと成長するかどうかの分かれ目は、
「(2) 共感した人が仲間として再発信」から「(3) 他界隈・大人世代が面白いと感じる」へ行けるかどうか。
この“越境”が生まれることで、初めて界隈の熱は社会へと波及します。

企業が理解すべき「SNS時代の界隈消費」

マーケットが何を望んでいるかの見極めが必要になる

SNSの世界では、“自社ターゲット”を捕まえようとするのは少しナンセンスかもしれません。言い古された言葉ですが、年齢・性別・属性だけでは人の価値観を捉えられません。
企業が把握すべきは、「自社ブランドがどんな共感の文脈で語られているか」という点です。

そして今、企業は問われています。

「マーケットといかに会話ができているか」

“何を作るか”より“どんな共感を生むか”がマーケティングの出発点です。界隈消費はそのマーケットイン思想を体現する現象。
Z世代の感性には、企業が学ぶべき“市場との対話のヒント”が眠っています。

 

マーケットインが意味する“市場”の正体

マーケットインという言葉はよく語られますが、その“マーケット”の中身は、かつてよりもずっと複雑になっています。
共感や空気、感情の揺れ、世界観の違い……。
数字では切り取れない要素が、今の市場には確かに存在しています。

そしていま、マーケットを理解するうえで欠かせないのが、「会話する姿勢」です。
マーケットとは一方的に分析する対象ではなく、会話が成立する相手になっています。
企業が声を届け、生活者がリアクションを返す。
その反応に再び企業が応答する――。
この往復によって、初めて“関係”が育まれ、優良なUGC(ユーザー生成コンテンツ)が生まれていきます。

つまり、マーケットインとは「生活者の声を聴く」ことに留まらず、生活者と会話を続けることそのものに意味があるのだと思います。
この対話の積み重ねこそが、複雑化する市場を理解するうえでの唯一の道であり、“共感”という目に見えない価値を共有する唯一の方法なのかもしれません。

そう考えると、界隈消費は単なるトレンドではなく、私たちマーケターに与えられた“新しい宿題”のようなものなのかもしれません。
生活者が大切にしている温度や空気を、これからもできるだけ丁寧に見ていきたい。
その積み重ねこそが、結果として“いまの時代にフィットしたマーケットイン”につながっていくのではないでしょうか。

マイナビとして、揺れる市場と向き合い続けるということ

そしてもうひとつ、大切なこと。

それは、この複雑な“揺れる市場”には、明確な正解がないということです。

共感は移ろい、界隈は立ち上がっては消えていく。

昨日の「好き」が、今日も同じ熱量で語られるとは限りません。マーケターとして、これほど捉えにくい市場はないのかもしれません。

けれど、だからこそマイナビがZ世代と真摯に向き合い続ける意義があると感じています。彼らの“好き”の変化や、日々の温度の揺れを丁寧に見つめること。答えが出ないからこそ、短期的な結論を求めず、対話を続けること。その積み重ねが、これからの市場を読み解くための唯一の道になるはずです。

界隈消費は、単なる若者文化の観察ではなく、「生活者とともに歩むマーケティングとは何か」を問い直すきっかけだと思っています。その問いに、私たちマイナビ自身がこれからも向き合い続けていきたい。そんな気持ちを込めて、このテーマに取り組んでいます。

SNSが社会の感情を可視化する時代へ

SNSは、ただの情報発信ツールから、  人々の感情と価値観を可視化するシステムへと進化しました。

Z世代の界隈消費は、データで動く社会から感情で動く社会への象徴的なシフトなのです。

【次回予告】

界隈発トレンドが市場をどう広げ、大人世代へどう波及するのか。 

推し活・キャラクター消費・キダルト市場を事例に、

Z世代が火をつけ、大人世代が育てる「共感の経済圏」を解き明かします。

「界隈消費」から読み解くZ世代と令和の消費構造vol.1│「感情」が動くマーケティング

“モノが売れる理由”は、価格や機能だけじゃない。心が動く瞬間にこそ、消費の本質があります。
この連載では、日常の中のちょっと気になるトレンドをテーマに、マーケターの視点からその背景やヒントを紐解いていきます。

今回は 「界隈消費」 

今話題の界隈消費について、全3回にわたって考察していきます。

「界隈消費から読み解くZ世代の気持ちの動き方」
~Vol1.界隈消費とは?共感で広がるZ世代の経済圏~
 

界隈消費とZ世代

みんながそれぞれの界隈に存在しているのが当たり前になったZ世代。

「○○界隈」という言葉、SNSで見かけない日はありません。

韓国コスメ界隈、平成レトロ界隈、推し活界隈……。
最近では、風呂キャンセル界隈や健康キャンセル界隈といった言葉も登場しています。
その日の気分やブームによって、複数の界隈に所属するZ世代も少なくありません。

最初に界隈が生まれるのは、誰か一人の“好き”や“こだわり”です。
それを自己表現としてSNSに投稿した瞬間、「わかる、それ私も!」と共感する人
が現れます。
そこで「同じ界隈の仲間」が生まれます。
自分だけの世界だと思っていたものが、全国に同じ感覚を持つ人がいると気づいたとき、共感は一気に拡散していきます。

界隈消費とは、共感が可視化され、連鎖していく仕組みのことを指します。
単なる趣味や嗜好の集まりではなく、「自分らしさを見つける」ための社会的な回路になっているのです。

界隈消費のリアル

界隈消費をひも解くと、いくつかのリアルが見えてきます。

ひとつは 「所属感」 
同じ界隈の仲間と一緒に買う、一緒に楽しむ。
その行為自体が満足につながります。
購買はモノを得る手段であると同時に、仲間との共感を確認するセレモニーでもあります。

もうひとつは 「自己表現」 
買ったものや体験はSNSで発信され、自分のアイデンティティを彩る記号になります。
誰かに見せるためではなく、「これが自分」という証**として機能しているのです。
まさに「自分の機嫌は自分でとる」を体現するのが界隈消費といえます。

そして 「拡散性」 TikTokInstagramに投稿された小さな消費の断片は、界隈を超えて拡散し、全国規模のトレンドを生み出す火種となります。界隈消費は、まさに個人の感情と社会の動きが交差する地点にあるのかもしれません。

界隈女子

SNSで繋がり共感し、界隈ごとに“仲間”を作るZ世代。

Z世代という“感性”

Z世代を単に若者と呼ぶのはもう古い。

―Z世代とは年齢ではなく、価値観のこと。―
令和になり、マーケティングの現場ではそう捉えるようになってきました。

SNSでつながり、共感を軸に世界を感じ取る新しい感性
この感性を持つ人たちは、もはや10代や20代だけでなく、30代にも広がっています
Z世代的な価値観を持つ大人たちは、消費の“共鳴者”であり、経済を動かす側に立っているのです。

メディアではしばしば「Z世代=SNSで拡散する世代」と語られますが、実態はもっと複雑です。
Z世代の消費行動は、偶発的な“バズ”ではなく、日常的に存在する界隈の中で育まれていることが多いのです。

大切なのは“共感”と“共鳴”
好きの共有が購買行動に変わり、購買行動が新しい文化を生む。
Z世代のリアルを理解するには、SNSのトレンド分析だけでは足りないというのが現状なのです。

Z世代が作るトレンド、大人が完成させる経済

エンジェルブルー

平成ブームを牽引するアパレルブランド「エンジェルブルー」
https://www.narumiya-online.jp/shop/default.aspxより引用

令和の消費を彩るトレンド――Y2Kファッション、平成リバイバル、韓国カルチャー。
その発火点の多くには、Z世代の存在があります。

界隈から生まれた小さな火種がSNSで拡散し、社会全体に広がっていきます。
そこから大人たちが共鳴し、購買行動を通じて経済圏を完成させていく

ブームの起点は若者でありながら、経済を完成させるのはその“感性”に呼応した大人たち。
この二段構えで、令和の消費は動いています。

“平成リバイバル”を単なる懐古ブームと捉えるのは早計かもしれません。
Z世代にとっては、知らない時代を“新しいレトロ”として楽しむカルチャー。
一方でミレニアル世代にとっては、自分が生きてきた時代を再発見する行為。

つまり、単なるノスタルジーではなく、異なる世代の“解釈”が新しい価値と共感を生んでいるのです。世代をまたいだ感情が界隈消費を拡大し、経済を動かすエネルギーになっています。

企業がZ世代を理解するということ

企業がZ世代を理解するということは、単に若者のトレンドを追うことではありません。

Z世代が起点となり、上の世代へと価値観が伝播していく。
その“共鳴の連鎖”を読み解くことこそ、いまのマーケティングに求められている視点です。

そしてZ世代は、すでに社会の中で働き、稼ぎ、消費を促す側にまわり始めています。
彼らは“買う側”から“動かす側”へと変わりつつあるのです。
大人世代もまた、Z世代的な価値観を自然に受け入れながら共鳴している。

世代とは、切れ目ではなく連なりです。
消費はその連なりの中で生まれ、進化していきます。

マイナビは、学生、社会人、子育て世代など、さまざまなライフステージのリアルを見つめるメディアを通して、その連なりを静かに観察してきました。

界隈消費を通して見えるのは、若者だけのムーブメントではなく、共感を軸に世代を超えてつながる、新しい社会のかたちなのです。

キダルト消費が止まらない! ~「大人になった子どもたち」が作る、新しい市場のかたち~│「感情」が動くマーケティング

モノが売れる理由”は、価格や機能だけじゃない。心が動く瞬間にこそ、消費の本質があります。
この連載では、日常の中のちょっと気になるトレンドをテーマに、マーケターの視点からその背景やヒントを紐解いていきます。

第1回は 「キダルト消費」 

大人になった今も“好き”を大切にする人々の行動や心理をマイナビの現役マーケター2人が語ります。

登場マーケターのプロフィール

中西 舞(なかにし・まい)|株式会社マイナビ

 

コンテンツメディア事業本部 マーケティング部ディレクター。
大学生向けメディア『学生の窓口』の立ち上げに関わり、デジタル・アパレル・金融・食品・医薬化粧品など多様な業界の広告企画を担当。
現在は大学生をはじめとしたZ世代向け案件を中心に、年間約200件以上のプランニングおよび営業同行を行う。

桑野 好絵(くわの・このえ)|株式会社マイナビ

 

2007年マイナビ入社。
女性向けメディアや若年層トレンド領域に従事し、現在は『マイナビニュース』『マイナビウーマン』などの広告企画を担当。
Z世代に特化した調査チーム「マイナビティーンズラボ」のプランニングやデータ解説、企業向けの講演も行う。
高校1年生の息子を育てる母として、「調査データ」と「リアルな声」の両面から若者インサイトを掘り下げている。

キダルト消費が止まらない⁉
「大人になった子どもたち」が作る、新しい市場のかたち

「推しグッズが溢れてるデスク」
「大人買いしたたまごっち」
「仕事終わりのプラモタイム」

それ、ぜんぶ キダルト消費 なんです。
幼少期にたくさんは買えなかったお菓子を箱買いしたり、ガチャガチャでほしい商品がでるまでひたすらまわしたり、、、みなさんそんな経験ありませんか?
筆者はつい先日、駄菓子屋で息子より爆買いしてしまいあきれられました。

キダルト(KIDULT)=KID + ADULT。
つまり、 大人になっても“子ども心”を持ち続け、好きなものにお金と時間をかけられる層 が新たな消費マーケットを動かしていくと言われています。
今回は静かに熱く、そして確実に広がっているキダルト消費について考察してみます。

 

キダルト消費は「感情」で動く

モノや情報があふれる時代において、キダルト層が求めているのは単なる“機能”じゃない。
「これ好きだったな」
「これを買ったら、ちょっと元気出そう」

そんな “ときめき”や“癒し” 、そして “自分らしさの再確認” 
大人になって何かに夢中になるきっかけが少なくなった大人たちのときめき。
それが、キダルト消費のエンジンです。

 

キダルトの代表的な消費ジャンル



 

 

平成を象徴するマンガNANAは今も根強いファンがたくさん。
この時代をともに生きた同世代と共鳴しあえるのもキダルト消費の魅力の一つ。

画像https://www.uniqlo.com/jp/ja/り引用

 

市場も注目、拡大を続けるキダルト消費

米国調査会社NPDによると、「おもちゃ業界の約4割が大人による購買」(2022年)というデータがあります。つまりアメリカでは“玩具”を起点に、ノスタルジーストレス発散を動機とした大人の消費が市場を押し上げています。

一方、日本では玩具にとどまらず、キャラクター雑貨や菓子、レトロコンテンツなど多方面に広がりを見せています。日本玩具協会の調べでは、2024年度の国内玩具市場は少子化にもかかわらず過去最高の1兆992億円に達しました。背景には、子ども時代の“推し愛”を今も貫く大人の存在や、限定コラボ・高付加価値アイテムに積極的に投資する購買層の拡大が顕著です。

SNSでのシェア消費(#大人買い #推し活 #昭和レトロ)もその流れを後押しし、キダルトは一過性のブームではなく、近年の市場構造を変える存在として注目されているのです!

 

今後、どうなる?キダルト消費【3つの予想】

(1) コラボは「エモ軸」勝負に

令和のブランドが平成レトロと手を組む 「エモいコラボ」がヒット する傾向。
話題性となつかしさのコラボに今後も注目です!

幼いころ憧れたアイテム×アイテムのコラボはまさにキダルト心をくすぐる戦略!

https://familiar.co.jp/より引用

 

(2) 体験型消費もキダルトに向けて進化

「プラモ作りBAR」、「ガンダムバー」、「レトロお菓子フェス」など、 “あの頃の自分に戻れる体験” が人気!
キダルト消費はモノだけでなく、コト・トキ消費としても広がっています。

 

(3) キダルト層は第二の主役

少子化による子どもターゲットの人口の減少は、玩具やお菓子業界においても深刻な問題になっていました。
そんな中で 消費を引っ張るキダルト層 が、市場のけん引役として期待されています。

 

【マーケ雑談】キダルト消費は“時間”と“記憶”に紐づく

桑野

キダルト消費は、 “今の自分”だけじゃなく、「昔の自分」や「未来の自分」にまで想いが及ぶ、情緒的な消費 ですよね。
私はあまりキダルトっぽい消費をしないんですけど、中西さんは結構買いません?それこそハッピーセットのおもちゃを大人買いしてましたよね?

中西

そうかも。セーラームーンも大好きですし、ビックリマンチョコのシールも集めててデスクに飾ってるし。

桑野

そうそう、多趣味な大人だなって思ってたけどキダルト消費だったんだって今理解しました。

中西

大人買いをすること自体がストレス発散、買ったあとどうするとか何かに使うとかまで考えてないんですよ。
だから推しのキャラのクリアファイルが無数に家にあったりします。

桑野

大人になって買いたい!と思ったときに買える快感みたいなものがあるのかな。

中西

まさに!幼少時代は限られたお小遣いだったり、ジャンクフードとかはあまり食べさせてくれないとかそういう環境で育った分、今の反動はすごいかも。

桑野

よく 菓子パン 食べてますもんね。それも一種のキダルト消費かなって思います。
30代の男性とかが メロンソーダ みたいなのを自販機で買ってるの見ると、小さいころから好きなものが変わらないのかな?とか思いながら微笑ましく観てしまいます。

中西

子育て世代はなかなかそういうキダルト的な消費は起こらなさそう。
そんなことより、まさに子どもマーケットの中心にいるから。

桑野

子どもそっちのけで、戦隊ものにハマるお父さんは結構いますけど、子どもの目がある手前あんまり自分のためにおもちゃを買ったりはしないかもです。

中西

そうなると 30代~40代の可処分所得の高い層がキダルト消費を牽引 していますね。
マインド的には、「子ども時代に買ってもらえなかったものを今こそ」・「疲れた自分を“あの頃の気持ち”で癒やす」みたいな。

桑野

忙しい現代ビジネスマンの心のよりどころ的な需要がありますね。
 ノスタルジーと自己肯定感が満たされるのがキダルト消費。 

 

【まとめ】「好き」が再評価される時代の、最前線。

キダルトは 「大人になったけど、今もちゃんと好きでいたいものがある」 という人たち。
そしてそんな“好き”に、お金も時間もかけられる時代になった。
いま、キダルト層に響く商品や体験を届けられるかが、企業やブランドの“未来のお客さん”をつかむカギになるのかもしれません。

Z世代、何が変わって何が変わらなかった?——マイナビトレンドランキング11年分から見えたリアル│「感情」が動くマーケティング

“モノが売れる理由”は、価格や機能だけじゃない。心が動く瞬間にこそ、消費の本質があります。
この連載では、日常のなかのちょっと気になるトレンドをテーマに、マーケターの視点からその背景やヒントを紐解いていきます。

登場マーケターのプロフィール

    

中西 舞(なかにし・まい)|株式会社マイナビ

 

コンテンツメディア事業本部 マーケティング部ディレクター。
大学生向けメディア『学生の窓口』の立ち上げに関わり、デジタル・アパレル・金融・食品・医薬化粧品など多様な業界の広告企画を担当。
現在は大学生をはじめとしたZ世代向け案件を中心に、年間約200件以上のプランニングおよび営業同行を行う。

桑野 好絵(くわの・このえ)|株式会社マイナビ

 

2007年マイナビ入社。
女性向けメディアや若年層トレンド領域に従事し、現在は『マイナビニュース』『マイナビウーマン』などの広告企画を担当。
Z世代に特化した調査チーム「マイナビティーンズラボ」のプランニングやデータ解説、企業向けの講演も行う。
高校1年生の息子を育てる母として、「調査データ」と「リアルな声」の両面から若者インサイトを掘り下げている。

 

インスタ映えからTikTok、そして“共体験”へ

桑野

「トレンドランキング」も気づけば11年目。
振り返ると、Z世代って“手段”や“表現”はどんどん進化してるけど、根底の価値観って意外とブレてないよね。

中西

そうですね。2015年あたりは完全に「インスタ映え全盛期」。
カフェで花かんむり、タピオカ、スイーツ…“盛る”ことが全てでした。

桑野

あの頃は「自分をどうキレイに見せるか」がテーマだった。
でも2019年頃からTikTokの影響で一気に変わったよね。 「静止画の映え」から「短尺動画での表現」へ 

中西

今ではTikTokが単なる動画投稿アプリじゃなくて、「トレンドの発信源」ですからね。
新しいアーティストやキャラも、まずTikTokでバズってから話題になる。

女子高生の発信源=TikTok。バズは縦動画から生まれる時代へ。

「界隈」はさらに細分化し、界隈仲間の絆もさらに強固なものに。

桑野

あともうひとつの大きな変化は “界隈”の細分化。 昔は「K-POP好き」「原宿系」みたいな大きな括りだったけど、今はもっと粒度が細かい。

中西

たしかに。
大学生向けのプランニングでも、「韓国系×Y2Kっぽいけど、性格診断はN型で、メイクはナチュラル」みたいに、 多層的な属性や価値観がセット で語られることが増えました。

桑野

SNSの発達で、同じ価値観の“界隈”を探しやすくなったんだよね。
うちの高校生の息子も、クラスの友達よりX(旧Twitter)でつながる“推し仲間”の方が本音で話してるっぽい。

中西

でも一方で、「変わっていないもの」も明確にありますよね。
たとえば“情報の入り口”は、ずっとSNS。

桑野

そう。
テレビや雑誌より、「たまたまTikTokで流れてきた」ものに興味をもつ構造は、10年前からずっと変わってない。
 偶然性と拡散性が鍵。 

中西

それと“映え”の概念もアップデートされながら、やっぱりしぶとく生き残ってますよね。
昔は静止画でレイアウトを整えるのが命、今は動画の“音ハメ”や“意外性”でバズを狙う。 キラキラしたもの、かわいいものだけがもはや映えじゃない。 

 

アフターコロナで帰ってきた「みんなで一緒に」というマーケット。

桑野

もう一つ見逃せないのが、「共体験」へのシフト。
コロナ禍以降、一人で楽しむものから 「誰かと一緒に盛り上がる」体験型コンテンツ に人気が戻ってきたよね。

中西

そうですね。特に大学生界隈では「ライブ行こう」「推しカフェ行こう」みたいな“リアルな場”への欲求が強くなってる。
自己分析からMBTIブームが来て、自分を知ることからもう一歩世界が広がって、それが “誰と過ごすか” の文脈に進化した印象です。

桑野

言葉にもそれが表れてるよね。最近流行るのは、「一言で共感できる言葉」。
「今日ビジュいいじゃん」なんて、見た瞬間に“仲間だ”って思える。

中西

流行語って文脈より体感が大事。
「なんで流行ったか」はあまり考えられてないですよね。
それこそ以前、桑野さんが高校生の息子さんに「エッホエッホってなんで流行ったの?」って聞いたら、「大人だけだよ、理由気にするの」って返されたって話、印象的だった(笑

桑野

本当にあれが今のリアル。
感覚で拾って、感覚で広める。予測できないからこそ、Z世代のカルチャーって面白いんだよね。

中西

11年分のランキングを振り返ると、「変わるもの」と「変わらないもの」がくっきり見えてくる。
表層はどんどん変わるけど、 “自分らしくありたい”とか“誰かとつながりたい”という根本の欲求は普遍的。 

桑野

その本音の部分を、マイナビとしてこれからも見逃さずにキャッチしていきたいよね。
現場の声、SNSの空気感、そして生活者のリアル。
それをちゃんと拾って、マーケティングに活かしていくのが私たちの使命だと思う。

中西

私たちの仕事柄、結構これから何がZ世代に流行ると思いますか?って聞かれるけど、予測が一番難しい世代ですよね。

桑野

偉そうにペラペラとお話したんですが、よく「これから10代に何が流行るんですか?」と聞かれます。
正直、何が流行るかの未来予想はかなり難しいです。だからこそ、常に女子高生と「会話をすること」を大切にしています。座談会で本音を聞き出すことで、彼女たちの「今」を自分の中でアップデートし続けるしかない。言葉にするのが難しいんだけど、座談会をしていると彼女たちの空気感みたいなのも感じない?あれが実はすごく大事な気がしてる。だから勝手に大人が10代のトレンドを予測するのは実は結構危険なことかもしれない。

中西

本当にそう思います。座談会で盛り上がる話題、逆に盛り上がらない話題とかそういうリアルを感じ取ることが大事ですよね。10代の子たち自身も計画しているわけじゃなくて、ピンときたものを何気なくSNSでシェアして、それが自然に広がるんですよね。
若い子たちは理由を考えず、ただ純粋に楽しんでいるその『感覚』みたいなものを企業はなるべく早くキャッチしたい。

桑野

だから、予想できないからこそ10代の文化は面白い。
彼女たちの自然な楽しみから、次々に新しい流行が生まれては消えたり、形を変えて定番化していったりね。
そこを私たちマイナビは、10代マーケティングの第一走者として、常に彼女たちと話しながらリアルな声をキャッチし、最前線を皆さんにお届けしたいと思っています。