未完成がちょうどいい。2025トレランが映す“10代の今”│「感情」が動くマーケティング

更新日:2025年12月01日(月)

“モノが売れる理由”は、価格や機能だけじゃない。心が動く瞬間にこそ、消費の本質があります。
この連載では、日常のなかのちょっと気になるトレンドをテーマに、マーケターの視点からその背景やヒントを紐解いていきます。

登場マーケターのプロフィール

中西 舞(なかにし・まい)|株式会社マイナビ

コンテンツメディア事業本部 マーケティング部ディレクター。
大学生向けメディア『学生の窓口』の立ち上げに関わり、デジタル・アパレル・金融・食品・医薬化粧品など多様な業界の広告企画を担当。
現在は大学生をはじめとしたZ世代向け案件を中心に、年間約200件以上のプランニングおよび営業同行を行う。

桑野 好絵(くわの・このえ)|株式会社マイナビ

桑野 好絵(くわの・このえ)|株式会社マイナビ

 

2007年マイナビ入社。
女性向けメディアや若年層トレンド領域に従事し、現在は『マイナビニュース』『マイナビウーマン』などの広告企画を担当。
Z世代に特化した調査チーム「マイナビティーンズラボ」のプランニングやデータ解説、企業向けの講演も行う。
高校1年生の息子を育てる母として、「調査データ」と「リアルな声」の両面から若者インサイトを掘り下げている。

 

リアル・世界観・AI。10代女子の価値観が一段シフトした年

中西

桑野さん、今年のトレンドランキングが発表されました。かなり象徴的な結果でしたよね。まずは今年の総評から伺えますか?

桑野

2025年はAIが一気に日常レベルで進化したのもあって、デジタル環境そのものの“空気”が変わった1年だったと思います。SNSでも“盛る・映える”より等身大のゆれが求められるようになった印象です。

未完成さや人間らしさが“価値”になる時代へ

ヒト部門

中西

今年は、あと、「今日、好きになりました。」が強かったですね。モンタさんやHANAさんなど“世界観そのもの”が支持された印象があります。

桑野

たしかに!長浜広奈さんもMON7Aも含めて、“完璧なスター”じゃなくて“物語や感情の手ざわりが伝わる存在”が強い支持を集めた感じがします。

中西

デジタルが洗練されたことで、“未完成さ”や“温度のある表現”に価値を見いだす動きがより際立ちましたね。

桑野

“整いすぎない世界観”とかさ。“寄り添う感じの空気”が刺さるんだよね。
今年のランキングって、まさに “等身大を大切にする流れ” を象徴してたと思う。

世界観ごと好きになれる人が人気者に。

中西

ヒト部門は特に“空気感”が大事になっていました。これも今年の象徴的な流れですね。

桑野

“この人の世界観好きだわ”ってところからファンになる。ビジュアルだけの時代じゃない気がします。
 その人の背景もふくめてまとっているオーラも見られる。 

中西

日常の色味、言葉遣い、生活感……。すべてが“その人の物語”として受け止められている感じがあります。

桑野

しかも作り込んでない。それが逆に魅力になる可能性。“生活の延長線にある世界観”に魅力がある人が求められている。

AI:ChatGPTがランクインした意味とは?

コトバ部門

中西

そしてChatGPTのランクインは非常に象徴的でした。

桑野

これは今回の大きなトピックですね。10代女子の“好きなモノ”にAIが入るって転換点。相談相手みたいな距離感っていうのもおもしろい。

中西

“友達ほどじゃないけど聞いてほしい”ってときにAIがちょうどいい。ジャッジされないし、裏切らない安心感 があります。心理的安全性としてのAIですね。

デコって自分の印にする”文化が広がった

中西

今年は“デコるアイテム”の人気がすごく顕著でした。ラブブ、目印チャーム、日焼けキティなど。

桑野

めっちゃ象徴的ですよね。“自分だけの印” を楽しむって流れが一気に広がったよね。

中西

私のような平成世代は懐かしくて萌えましたよ(笑)
通学バッグに大ぶりチャームを重ね付けしたり、平成テイストのアクセントが“自分らしさの表現”になっているように見えました。

桑野

わかる。10代の子たちってデジタルが当たり前で、効率化された世界に慣れすぎてる反動かもね。
こういう “余白のある可愛さ” “遊び心のあるアクセント” がすごく心地いいんだと思う。

映画の人気復活。“エンタメ×おでかけ”の体験価値

中西

個人的に意外だったのは、“映画”の人気です。サブスク全盛の時代に、あえて映画館へ足を運ぶティーンが増えているのは象徴的でした。

桑野

そこ!私もびっくりした。
でも考えたら、“誰かと一緒に映画館に行く”って、それ自体がひとつのイベントになっている。

中西

2000円前後で楽しめる“コト消費”として、物価高の中でもコスパの良い“おでかけ体験”になっていますね。

桑野

しかも、映画の後に語りあえる。“語れる時間まで含めて価値”っていう10代の感覚がすごく出てると思う。

中西

“映えスイーツ”がやや落ち着きを見せているのも興味深かったです。価格と満足度を冷静に見ながら、本当に好きなものへお金を使う方向へ変わっています。

桑野

うん。10代の消費感覚って、実はめちゃ現実的で賢いよね。

10代女子の“今”=世界観×等身大×AI×体験

中西

今年のランキングは、10代女子の“価値の置き場”がどこにあるかを明確に示していましたね。

桑野

うん。等身大の世界観、自分らしさのデコ、AIという寄り添う存在、語れる体験。全部つながってる。

中西

効率化の先に、“ゆれ”“余白”“寄り添い”が求められる時代になったということですね。

桑野

“人間らしさ”がめっちゃ価値になった年だったと思います。

中西

人間らしさ、まさにZ世代にとってそこがまた新鮮で面白いと感じるポイントですね。来年のトレンドランキングもまた新しい発見がありそうで楽しみです。

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