中学受験は「家族のプロジェクト」 父親たちに聞く、伴走と意思決定のリアル~vol.2~|感情が動くマーケティング

更新日:2026年04月10日(金)

前回の記事はこちら

2026年、今年の中学受験市場の高まりをリアルレポート!~パパ編~

2026年、中学受験市場をリアルレポートーパパ版ー

前回は、中学受験を経験した母親たちに話を聞きました。塾選びや教育費、家庭内の役割分担など、生活がどのように変わるのかが見えてきました。

一方で、ここ数年で変化しているのが、父親の関わり方です。模試会場や学校説明会、塾の送迎など、受験を「家族のプロジェクト」として支える父親の姿も珍しくなくなりました。

今回は、実際に受験を伴走したお二人の父親に、中学受験の意思決定や家庭の変化について聞きました。

Aさんは双子の小学6年生の女の子の父親。二人のうち一人が受験を希望し、難関国立中に合格しました。
H
さんは小学6年生の男の子の父親。都内屈指の進学校に合格しています。

登場マーケターのプロフィール

桑野 好絵(くわの・このえ)|株式会社マイナビ

桑野 好絵(くわの・このえ)|株式会社マイナビ

2007年マイナビ入社。
女性向けメディアや若年層トレンド領域に従事し、現在は『マイナビニュース』『マイナビウーマン』などの広告企画を担当。
Z世代に特化した調査チーム「マイナビティーンズラボ」のプランニングやデータ解説、企業向けの講演も行う。
高校1年生の息子を育てる母として、「調査データ」と「リアルな声」の両面から若者インサイトを掘り下げている。

座談会出席者

Aさん(45歳/子ども2人/自営業)長女が受験

お受験パパAさん

Hさん(46歳/子ども3人/正社員)長男が受験

お受験パパHさん

受験のきっかけは家庭の情報ネットワーク

受験父と娘

令和に急速に頭角を現す「お受験パパ」の存在

桑野

まず、中学受験を意識したきっかけを教えてください。

Aさん

きっかけは妻ですね。中学受験に詳しいママ友から受験の話を聞いてきて、「高校から入れる枠が少ないらしいよ」と言われたんです。

桑野

それはどういうことなんですか?

Aさん

中学受験する家庭が増えているんです。特に女子は評判が良い中高一貫校が多く、高校受験の枠が少ないと聞いて、妻が焦って「受験どうする?」と子どもたちに聞いたんです。

桑野

Aさんご自身はどう思っていたのですか。

Aさん

正直、僕は高校受験でいいんじゃないかと思っていました。小学生がそこまで将来を考えられるのかな、という気持ちもありましたし。

桑野

そこからどう受験する運びになったんですか?

Aさん

うちの娘は双子なんです。2人に聞いてみたら1人が「やりたい」と言ったんです。それならサポートしようと。受験しないと答えた次女には、じゃあ高校受験がんばろうねということで本人たちの意思を尊重しました。

 

受験は家庭のプロジェクト!?

桑野

Aさんがかなり主体的にサポートされたそうですね。

Aさん

理由は単純で、僕の方が受験勉強の経験があるからです(笑)。

桑野

奥さまは?

Aさん

妻は受験勉強の経験があまりないんです。高校も受験したっけ?くらい記憶にもないらしいんですよ。僕は受験勉強の厳しさを知っているので、メンタルも含めてメインでサポートしようと思いました。

桑野

家庭内の役割分担を話しあったということですか?

Aさん

はい、喧嘩になる前に完全に分担していました。妻は生活面、僕は受験担当です。

 

「勉強しなさい。」とは言わない

桑野

受験勉強のサポートはどのようにされていましたか。

Aさん

基本は自走です。「どこまでやった?」とかは一切聞きませんでした。受験するのは本人であって僕ではないので。

桑野

「勉強しろ」とは言わないんですか?受験生の親が一番いいそうなワードなんですが!

Aさん

絶対言わないですね。

中学受験って結局、自分でやらないと受からないと思うんです。だから「自走する娘を見守る」という感覚でした。

 

小6スタートでも合格!

桑野

受験勉強はいつから始めたんですか。

Aさん

6からです。

桑野

一般的には小学3年生の3学期からスタートが一般的だと聞きました。娘さんはかなり遅いスタートかと思いました。

Aさん

そうですね。本当に急に受験すると決まったので。ただ本人が計画的にやるタイプだったので、結果的にコスパは良かったと思います。

桑野

費用感はどれくらいでしたか。

Aさん

個別塾で年間70万円くらいです。

桑野

かなり抑えていますね!前回のママさんとの話でも300万~500万くらいだというお話も出ましたが。

Aさん

子どものタイプによって、かかるお金は全然違うと思います。

 

学校選びの決め手は環境

スポーツと中学受験の両立とは?

スポーツと中学受験の両立とは?

桑野

Hさんはどういうきっかけで受験を考えましたか。

Hさん

息子が陸上をやっているので、その環境を軸に学校を探しました。

桑野

スポーツや部活の環境ってことですね?かなり現実的で具体的ですね。

Hさん

調べていくと、圧倒的に私立の方が設備が整っていると感じたんです。高校生や大学生と一緒に練習できる環境もかなり刺激になるだろうと息子も私も感じました。

桑野

それは魅力的ですね。

Hさん

陸上を続けるなら、そういう環境は喉から手が出るほど欲しかったですね。

 

家庭での受験サポート

桑野

家庭ではどのようにサポートされていましたか。

Hさん

妻は文系なので国語と社会。僕は算数と理科を担当していました。

桑野

かなり本格的なサポート体制ですね。

Hさん

志望校が記述問題の多い学校だったので、文筆業をしている妻が国語の添削を仕事以上に熱心にやっていました。()

 

受験は生活を変える

桑野

生活面の変化はありましたか。

Hさん

朝学習を妻と息子がやっていました。出社型の妻の提案で、5時から7時まで勉強していました。

桑野

かなり早いですね。生活スタイルが変わりそうです。

Hさん

僕も働き方を変えました。外資系でフルリモートの勤務なんですが、自由な時間から勤務スタートできるんです。その制度をフル活用して朝学習のスタートの5時から働いて15時に終わるようにしたんです。

桑野

それは大きいですね。

Hさん

塾の予習にも付き合えますし、塾の送迎にも行けるので助かりました。

 

“車”まで買った。

受験のための送迎

子どものサポートにあたりライフスタイルが変わることも。

桑野

他にも変化はありましたか。

Hさん

はい、実は車を買いました。

桑野

車ですか。受験のために買ったものとしてはすごく大きい決断ですよね!

Hさん

塾と陸上クラブの移動が大変だったんです。勉強とスポーツの両立で大変なのに加えて息子が自転車でヘロヘロになって帰ってくるのを見て、これは買おうと。

桑野

体力的にも車だと息子さんも負担が減りますね。

Hさん

ペーパードライバーだったので、講習まで受けました(笑)。

 

総額1,000万円。それでも経験への投資

過程への成長投資としてとらえる。

過程への成長投資としてとらえる。

桑野

全体の費用はどれくらいでしたか。

Hさん

車や講習代も含めると1,000万円くらいですね。

桑野

かなり大きいですね。

Hさん

ただ、僕たちはモノより経験にお金を使うタイプなんです。普段は贅沢しません。

桑野

メリハリですね。

Hさん

はい。受験も一つの経験への投資だと思っています。

 

父親の参加は増えている

桑野

父親の関わり方は変わってきていると思いますか。

Hさん

増えていると思います。

会社でも中学受験の話は出ますし、飲み会やランチで情報交換もしました。

桑野

仕事との両立はどうでしたか。

Hさん

最初は有給や早退に抵抗がありました。でもたまたま数人の同僚も同じ環境だったんです。

なので同僚同士で助け合って、「今日は学校説明会なので」と言って普通に早退するようになりました。

令和の中学受験は夫婦戦略

桑野

中学受験をする家庭内の役割も柔軟に変わっていますね。

Hさん

そうですね。“父親だから”“母親だからという考え方は、もう時代に合っていないと思います。

Aさん

同感です。

Hさん

中学受験は情報も多いし、判断も多い。
夫婦で戦略的に乗り越える必要があると思います。

 

中学受験家庭から見えてきたこと

中学受験家庭は、衝動でお金を使う市場ではありません。
学校環境、教育方針、費用、将来の選択肢まで比較し、納得してから意思決定をしていくのが特徴です。

今回の座談会でも印象的だったのは、父親たちが環境や将来の選択肢、費用対効果といった視点から学校や受験を捉えていたことでした。子どもの希望を尊重しながらも、長い目で見た環境や経験を重視する姿勢がうかがえます。

中学受験は、単なる教育サービスの選択ではありません。
家族が将来について話し合い、生活や働き方を調整しながら意思決定を重ねていく——家庭全体のプロジェクトとも言える側面があります。

そうした背景を理解したうえで情報を届けることが、結果として信頼につながっていくのではないでしょうか。


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桑野 好絵(くわの・このえ)|株式会社マイナビ
2007年マイナビ入社。 女性向けメディアや若年層トレンド領域に従事し、現在は『マイナビニュース』『マイナビウーマン』などの広告企画を担当。 Z世代に特化した調査チーム「マイナビティーンズラボ」のプランニングやデータ解説、企業向けの講演も行う。 高校1年生の息子を育てる母として、「調査データ」と「リアルな声」の両面から若者インサイトを掘り下げている。

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