【前編】10代は「共感」から「テンション共有」へ? 2026年上半期トレンドランキングから見えた、“空気感”を楽しむ時代|感情が動くマーケティング

更新日:2026年08月03日(月)

マイナビティーンズラボでは毎年、6月と11月に「10代女子が選ぶトレンドランキング」を発表しています。

2026年6月に発表した2026年上半期のランキングを振り返ると、昨年まで続いていた「共感」や「等身大」の流れはありながらも、少し違う変化が見えてきました。

ヒト部門ではM!LK1位、モナキが2位、CUTIE STREET3位。さらにコトバ部門では「○○すぎて滅」「ば・く・れ・つ」「ほんまやでなんでやねんしらんけど」が上位を占め、ウタ部門でもM!LKの「爆裂愛してる」、モナキの「ほんまやでなんでやねんしらんけど」、中島健人さんの「最初はキュン!」がランクインしました。一見するとバラバラなトレンドにも見えますが、ランキング全体を眺めていると、ある共通点が見えてきます。

今回は2026年上半期のヒト・コトバ・ウタ部門を中心に、今の10代女子の価値観について考察していきます。

登場マーケターのプロフィール

中西舞

中西 舞(なかにし・まい)|株式会社マイナビ

コンテンツメディア事業本部 マーケティング部ディレクター。
大学生向けメディア『学生の窓口』の立ち上げに関わり、デジタル・アパレル・金融・食品・医薬化粧品など多様な業界の広告企画を担当。
現在は大学生をはじめとしたZ世代向け案件を中心に、年間約200件以上のプランニングおよび営業同行を行う。

桑野 好絵(くわの・このえ)|株式会社マイナビ

桑野 好絵(くわの・このえ)|株式会社マイナビ

2007年マイナビ入社。
女性向けメディアや若年層トレンド領域に従事し、現在は『マイナビニュース』『マイナビウーマン』などの広告企画を担当。
Z世代に特化した調査チーム「マイナビティーンズラボ」のプランニングやデータ解説、企業向けの講演も行う。
高校1年生の息子を育てる母として、「調査データ」と「リアルな声」の両面から若者インサイトを掘り下げている。

M!LK3冠達成。見えてきた「参加したくなるトレンド」

2026年上半期トレンドランキング

中西

まず印象的だったのは、やはりM!LKですね。ヒト部門、コトバ部門、ウタ部門で1位を獲得し、3冠を達成しました。

桑野:

ここまで複数部門を横断して存在感を見せたのは久しぶりかもしれません。
ただ、面白いのは単純に彼らが「人気アイドルだから」というだけでは説明できないところなんですよね。

中西:

確かに、「爆裂愛してる」が流行り、「ば・く・れ・つ」が流行り、「好きすぎて滅!」から派生した「○○すぎて滅」が流行る。
楽曲、コトバ、コミュニケーションが全部つながっています。

桑野:

おっしゃる通りです!少し前までは、楽曲は楽曲、流行語は流行語という形で広がることが多かったと思います。でも今回は違う。

楽曲の一部が切り取られ、そのままコミュニケーションの道具になっているんです。
「爆裂愛してる」を聴いて終わりではなく、「ば・く・れ・つ」を友達同士で言い合ったり、SNSで使ったりする。
音楽を聴くだけではなく、音楽を使っている感覚に近いのかもしれません。

中西:

音楽が流行を生み出すというより、音楽がコミュニケーションの素材になっているんですね。

桑野:

まさにそうですね。今の10代は音楽を

聴く
踊る
真似する
投稿する
言葉として使う

という形で楽しんでいます。だからヒット曲の条件も、「いい曲」であること以上に、「切り取れるか」「共有できるか」が重要になっているのかもしれません。

 

【ヒト部門】モナキ、CUTIE STREETも上位に。共通していたのは「参加できること」

ヒト部門_2026年上半期トレンドランキング

中西:

ヒト部門を見るとM!LKだけではなく、2位のモナキ、3位のCUTIESTREETも印象的でした。

桑野:

そうですね。一見すると全然違うグループに見えるんですが、実は共通点もあると思っています。

中西:

どんなところでしょうか。

桑野:

どのグループも「遠いスター」というより、「一緒に楽しめる存在」なんですよね。M!LKは楽曲やSNSでの親しみやすさ。
モナキはネタ感や親近感。CUTIE STREETは、「ぷりきゅきゅ」のような、意味を説明するというよりも、かわいい気分や楽しいテンションを共有できるキャッチーなフレーズが魅力です。

中西:

なるほど。憧れだけではなく、きっと参加できる余白があるんですね。真似したりSNSで共感したりと。

桑野:

そう思います。近年ずっと参加型コンテンツが支持されやすい風潮でしたが、それがエンタメに最も強く出た2026年上半期でした。
今回のランキング全体を見ても、受け身で楽しむものより、みんなで一緒に楽しめるものが支持されています。

 

【コトバ部門】「メロい」から「ば・く・れ・つ」「滅」へ。流行語の変化

コトバ部門_2026年上半期トレンドランキング

中西:

コトバ部門もかなり特徴的でした。昨年は「メロい」が1位でしたし、「両手に○○でーす」や「#モンタ界隈」など、SNS発の言葉が目立っていました。

桑野:

そうなんです。昨年はSNSの中で自然発生した言葉が、そのまま流行語になっているものが多くありました。

一方で今回は、「○○すぎて滅」「ば・く・れ・つ」「ほんまやでなんでやねんしらんけど」と、すべて楽曲由来のコトバが上位にランクインしています。

中西:

面白いですね。以前はSNSそのものがトレンドの発生源でした。でも今回は、音楽やアイドルといったコンテンツが起点になり、SNSがそれを増幅しました。

SNS中心の時代から、コンテンツ回帰が起きているようにも見えます。

桑野:

私もそう感じます。

SNS発の言葉から、コンテンツ発の言葉へ。今はSNSそのものが流行を作るというより、爆発力のあるコンテンツを拡散する装置になっているのかもしれません。

 

「ば・く・れ・つ」「滅」が象徴する、今の10代のテンション

中西:

そして今回のコトバは、とにかく勢いがありますよね。

「爆裂(ば・く・れ・つ♡)
「滅」
「なんでやねん」

どれもインパクトがあって、響きも強い……。

桑野:

私もそこは印象的でした。それこそ昨年の「メロい」は、感情をじんわり表現する言葉でした。でも今年は違う。
「好き」ではなく「好きすぎて滅」。「とても」や「すごく」ではなく「爆裂(ば・く・れ・つ♡)」。

感情を説明するというより、感情を一気に増幅させるための言葉なんですよね。

中西:

今回の上位ワードは、「考える前に反応してしまう」ものばかりです。
言葉の意味というより、言葉が持つエネルギーそのものが支持されているようにも感じます。

桑野:

そうなんです。もちろん今の10代は感情がないわけではありません。
むしろ感情を共有したい気持ちは強いと思います。ただ、その共有の仕方が少し変わってきている。深く語り合うというより、

一瞬で盛り上がる
一瞬で空気を変える

そんな瞬発力が求められているように感じます。

中西:

「爆裂(ば・く・れ・つ♡)」や「滅」は、感情を説明する言葉ではなく、感情を一気に増幅させるための言葉なのかもしれません。

 

モナキに見る「意味」よりも「みんなで言う楽しさ」

中西:

今回、個人的に気になったのがモナキです。
「ほんまやでなんでやねんしらんけど」が流行語としてランクインしましたが、正直どんな場面で使うのか不思議です()

桑野:

実は私も気になって、高校生の息子に聞いてみたんです。
すると、「ほんまやで!」と言いたくなる場面で、そのまま「ほんまやでなんでやねんしらんけど」まで言うことがあるらしいんですよ。

中西:

そのままの流れで言っちゃうんだ、面白いですね()

桑野:

さらに誰かが言うと、周りが続きを歌うこともあるそうです。
そう考えると、この言葉って意味を伝えるための言葉というより、みんなでその一瞬の空気を共有するためのフレーズなんですよね。

中西:

それって、ある意味で言葉がコミュニケーションの道具から、コミュニケーションそのものになっているということかもしれませんね。

桑野:

まさにそう思います。今回の流行語は、「意味」よりも「みんなで言う楽しさ」に価値があるように見えます。感情を説明するためではなく、

みんなで言う
みんなで盛り上がる
みんなで楽しむ

ための言葉が支持されているのかもしれません。

 

「今日好き」人気は健在。ヒト部門の顔ぶれに広がりが見えた上半期

中西:

もうひとつ感じたのは、ヒト部門の顔ぶれがより多様になったことです。
2025年は「今日、好きになりました。」出演者の存在感が特に際立っていましたが、2026年上半期はアイドルやアーティストなど、さまざまなジャンルの人気者が存在感を見せました。

桑野:

そうですね。
「今日、好きになりました。」の人気は今も変わらず高く、今回もヒト部門には3人がランクインしています。
恋愛リアリティショーがティーンに与える影響力は依然として大きいと感じます。

一方で、今回のランキングではM!LKやモナキ、CUTIE STREETといったアーティストやアイドルも上位に入り、ヒト部門全体を見ると人気の広がりが感じられました。

中西:

音楽やSNSをきっかけに支持を集める人たちも目立ちましたね。

桑野

そう感じます。どのグループも「遠いスター」というより、「一緒に楽しめる存在」なんですよね。
M!LKは楽曲やSNSでの親しみやすさ。モナキはネタ感や親近感。CUTIE STREETは「ぷりきゅきゅ」のような、思わず口にしたくなるキャッチーなフレーズも魅力です。

憧れの対象として見るだけでなく、一緒に真似したり、盛り上がったりできることが支持されている。
2026年上半期は、そんな参加できる楽しさを持つ存在に、より注目が集まった印象があります。

 

「聴かせる音楽」から「楽しむ音楽」へ

ウタ部門_2026年上半期トレンドランキング

中西:

ウタ部門を見ると、ここ数年存在感を見せていたMrs. GREEN APPLEの勢いが少し落ち着いたようにも見えます。

桑野:

瞬間的に曲が流行るというフェーズが終わり、人気アーティストとしての地位が定着したのだと思います。
Mrs. GREEN APPLEは、もはや一過性のブームではなく、10代にとってのスタンダードになったんでしょう。
だからこそ今回のトレンドランキングでは、今まさに盛り上がっている楽曲が上位に出てきたのかもしれません。

中西:

確かにそうですね。「聴かせる音楽」が弱くなったということではなく、定番があるからこそ、新しいトレンドには別の価値を求め始めたとも言えそうです。

桑野:

そう思います。今回ランクインした楽曲を見ると、共通しているのはとにかく楽しいことです。

思わず口ずさみたくなる
踊りたくなる
友達と真似したくなる

メッセージ性の強い聴かせる音楽というよりも、みんなで楽しむ音楽が支持された半年だったように感じます。

 

“共感”から“テンション”の共有へ

中西:

今回のランキングを見ていると、「何が流行ったか」以上に、「どうやって一緒に楽しむか」が重視されているように感じます。
M!LKも、モナキも、今回の流行語も、形は違うけれど、すべて“参加できるトレンド”なんですよね。

桑野:

「共感からテンションの共有へ。」今回のランキングをひと言で表すなら、そんな変化なのかもしれません。
もちろん共感がなくなったわけではありません。

ただ2026年上半期は、

みんなで言える
みんなで踊れる
みんなで盛り上がれる

そんな体験そのものに価値が集まっているように見えました。

中西:

たしかに、「爆裂」「滅」「ほんまやで」といった勢いのある言葉も、感情を説明するためではなく、みんなでテンションを共有するための言葉だったのかもしれませんね。

桑野:

そして実は、その傾向は後編で取り上げるコト部門やモノ部門にも共通しています。
一見すると、「シール帳」や「DEAR令和&平成ウチらの伝説プリ」は平成レトロブームの延長線上にあるようにも見えます。
しかし、ランキングを読み解いていくと、単に平成風のデザインやアイテムが人気なのではなく、平成時代のコミュニケーションそのものに魅力を感じているようにも見えるんです。

後編では、シール帳や平成プリが支持される背景から、今の10代女子が求めるコミュニケーションや消費行動について、さらに深掘りしていきます。

後編はこちら

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桑野 好絵(くわの・このえ)|株式会社マイナビ
2007年マイナビ入社。 女性向けメディアや若年層トレンド領域に従事し、現在は『マイナビニュース』『マイナビウーマン』などの広告企画を担当。 Z世代に特化した調査チーム「マイナビティーンズラボ」のプランニングやデータ解説、企業向けの講演も行う。 高校1年生の息子を育てる母として、「調査データ」と「リアルな声」の両面から若者インサイトを掘り下げている。

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