Z世代の恋愛観を探る─大学生・専門学生恋愛調査から見えた価値観│「感情」が動くマーケティング

更新日:2026年02月04日(水)

派手な恋より、心地よい関係へ

Q. あなたは現在、恋人がいますか?(単一回答)

Q. あなたは現在、恋人がいますか?(単一回答)

(n=241)

大学生・専門学生を対象とした今回の恋愛調査では、現在進行形も含めて、約7割を超える人が「恋人がいた、もしくはいる」と回答しました。
近年、「若者の恋愛離れ」がメディアでたびたび語られていますが、少なくとも今回の結果を見る限り、Z世代の恋愛離れは大人が想像するほど進んでいないのかもしれません。
本調査を通して、恋愛に対する関心度や価値観、理想とする関係性など、さまざまな側面が見えてきました。そこから浮かび上がってきたのが、彼らならではの現在の“恋愛観”です。

そして、その恋愛観の背景には、彼らが育ってきた時代環境社会状況が少なからず影響しているようにも感じられます。本記事が、Z世代の価値観をひも解くための一つのヒントになれば幸いです。

恋愛意欲は低くない。しかし無防備ではない

Q. 恋愛への関心度を教えてください。(単一回答)

Q. 恋愛への関心度を教えてください。(単一回答)(n=189)

恋愛への関心は決して低くない

調査では、「できれば恋愛したい」という学生が半数以上に。この数字は、恋愛への意欲の低下ではなく「いい相手がいれば」すなわち「慎重な選択性」を示しているのではないかと思いました。

前段でもお話した通り、Z世代は“恋愛に興味がない”のではありません。むしろ、恋愛の持つ責任や、リスクまで理解しているため、安易に踏み出すことはしない。
「好きなら突っ走る」のではなく、「安心できる距離から関係を育てる」。これは恋愛観だけではなく、社会的な人間関係の構築にも見れるZ世代の特徴かもしれません。

 

出会いは大学というリアル空間が圧倒的多数

 恋人(または好きな人)と出会ったきっかけを教えてください。(複数選択可)※過去も含めてお答えください。

 恋人(または好きな人)と出会ったきっかけを教えてください。(複数選択可)※過去も含めてお答えください。

(n=189)

出会いの主流は学校などリアル空間

恋愛経験のある大学生・専門学生のうち、出会いの場所では、学校(授業・ゼミ・サークル・部活など)が68%と圧倒的でした。これは単に“身近”という理由だけではなさそうです。
学校というリアルな空間では、相手の振る舞いや態度、人としての倫理観を直接見ることができ、より相手の中身を知ったうえで恋愛関係に進めることができる、そこが慎重なZ世代にとってマッチしているのでしょう。

それは数字にも表れています。Z世代といえばSNS世代と言われていますが、それでもSNSでの出会いもマッチングアプリでの出会いも10%に満たない。“デジタル上での人物像は、必ずしも本人そのものを表しているわけではない”、それを知り尽くしているのもZ世代なのかもしれません。こうした背景から、出会いを「恋の入口」ではなく「信頼の入口」と捉えている側面がうかがえます。

マッチングアプリに“怖さ”を感じるのは、健全なリテラシー

Q. マッチングアプリを利用したことがありますか?(単一回答)

Q. マッチングアプリを利用したことがありますか?(単一回答)

(n=189)

アプリは知っているが、距離を取っている印象

Q. マッチングアプリを利用しない理由を教えてください(複数選択可)

Q. マッチングアプリを利用しない理由を教えてください(複数選択可)

(n=140)

デジタルネイティブであるがゆえのデジタルへの怖さが垣間見える

アプリ経験のない学生の中で、「怖い・トラブルが心配」が約60%に上ります。この“怖さ”は漠然とした感情ではなく、社会背景が原因かもしれません。

Z世代は10代の頃から、炎上、晒し文化、デジタルタトゥー、リベンジポルノ、なりすましなどの事例を実際に目撃・学習してきました。だからこそ、大人が想像するよりも慎重に恋愛における「情報距離」を設計しようとします。これは臆病なのではなく、社会的に合理的な適応行動とも言えます。

 

いまの大学生の金銭感覚から見える恋愛消費とは

 恋愛に対し慎重で堅実なZ世代のインサイトが見えてきたところで、恋愛にかかるコストの意識はどうでしょうか。

Q.1回のデートで使う平均金額(自分の支払い分)をお答えください。(単一回答)

Q.1回のデートで使う平均金額(自分の支払い分)をお答えください。(単一回答)

(n=189)

日常デートは無理のない金額帯が中心

Q.特別な日のプレゼント(誕生日・クリスマスなど)にかける平均金額をお答えください。(単一回答)

プレゼントの金額

(n=189)

恋愛に使う金額については、
・月間デート費用:1,000〜4,000円台が最多
・プレゼント:5,000〜9,999円が最多
という結果でした。

2025年のマイナビの調査によると、大学生のアルバイト収入は月5万円前後が平均的な水準とされており、住まいの形態によっては生活費とほぼ同程度になるケースも少なくありません。恋愛や趣味に使えるお金に大きな余白があるとは言いづらい状況の中で、現実に即した合理的な判断だと考えられます。

限られた条件の中で、派手な消費や演出に頼らず、日常の延長線上で安心して続けられる関係を選んでいる。そこには、価値観だけでなく、いまの日本社会を生きる若者としての現実対応が色濃く表れています。派手さよりも、安心感や心のゆとりを大切にする姿勢が、消費行動にも表れているのではないでしょうか。

Z世代の恋愛の本質は合意形成

Q. 恋愛において相手に最も求めるものを1つ選んでください。(単一回答)

相手に求めるもの

(n=182)

Q. 恋愛をする目的に近いものを選んでください。(単一回答)

恋愛の目的

(n=182)

恋愛の目的は「一緒に過ごす時間」と「将来」

今回の調査から、恋愛とはふたりの関係を合意のもとで設計していくプロセスであるといえます。

恋人と一緒に楽しい時間を過ごしたい」「将来の結婚を意識して」が上位を占め、恋愛を刺激やステータスとして捉える回答は少数でした。
恋愛は、関係そのものを大切にする行為として位置づけられているようです。これらを自然に行っている点で、(一人ひとりの個性や性質はあれど)Z世代は社会心理的に非常に慎重で注意深い部分を持ち合わせていると言えるでしょう。

結婚とは恋愛の延長線上にある持続可能な仕組み

Q. 結婚についてどう考えていますか?(単一回答)

Q. 結婚についてどう考えていますか?(単一回答)

(n=189)

結婚は目的ではなく信頼を築けたうえで成り立つ選択肢

今回の調査では、結婚について「将来的にはしたい」と考えている人が多数を占めました。
ただし、その内訳を見ると、「できるだけ早くしたい」という声よりも、「いつかはしたい」「良い相手がいれば」といった、時間や条件に幅を持たせた捉え方が中心となっています。Z世代にとって結婚は、「する・しない」を即断するものではなく、関係の質を確かめた先にある選択肢のひとつとして捉えられているように見えます。

価値観の一致、誠実さ、相互理解といった恋愛の重要要素がそのまま結婚にも求められるのは、「安心の設計」という一貫した行動原理があるからなのかもしれません。

この価値観にも時代背景が影響していると感じます。Z世代(大学生・専門学生)は2000年代に幼少期を過ごし、「3組に1組が離婚する」と言われるような日本の社会環境の中で育ちました。Z世代は結婚を“永遠に続く幻想”ではなく、“努力して育てる現実的な関係”と捉えているのかもしれません。恋愛を丁寧に設計する視点と、結婚を“持続可能な関係”と捉える視点は、一本の線でつながっているのです。

恋愛消費に求めるのは、“盛る”よりも“生活に置けるか”で考える

Z世代の恋愛消費は、非日常よりも日常の延長線
だからこそ広告の世界観も、映画のワンシーンのような特別感より「これ、普通の日にありそう」と思えるリアリティが受け入れられすいと言えます。

  • 実際に使っているシーン

  •  背伸びしない選択

  •  等身大の何気ない感情の揺れ

こうした生活解像度の高い描写が、共感を生みやすくなります。実際に恋愛文脈で共感を生んでいる広告の共通点を見ても

  • 恋を煽らない

  •  成功体験を押し付けない

  •  一瞬のときめきをゴールにしない

代わりに、

  •  距離を測る時間を肯定(恋愛に至るまでの過程を描く)

  •  迷い・不安・慎重さをリアルに描写

  • 「続けられる関係」を前提に同じ目線でモノ・コトを選ぶ描写

こうした流れから見てみると、Z世代向け恋愛広告は、「恋をさせる」より「関係を壊さない」設計が効く。
だからこそ、派手な愛情表現より、穏やかだけど共感できるリアルな描写が選ばれているのかもしれません。

次回は実際にZ世代の男女を迎えて恋愛に関するリアルトークの様子をお届けしたいと思います。

  • 調査対象

    18~25歳/専門学生、短期大学生、大学・大学院生

  • 有効回答数

    241件(内、これまで恋人がいた経験がある人:189件)

  • 調査時期

    2025年12月

  • 方法

    インターネット調査

この記事を書いた人
マイナビベアの写真
桑野 好絵(くわの・このえ)|株式会社マイナビ
2007年マイナビ入社。 女性向けメディアや若年層トレンド領域に従事し、現在は『マイナビニュース』『マイナビウーマン』などの広告企画を担当。 Z世代に特化した調査チーム「マイナビティーンズラボ」のプランニングやデータ解説、企業向けの講演も行う。 高校1年生の息子を育てる母として、「調査データ」と「リアルな声」の両面から若者インサイトを掘り下げている。

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