「界隈消費」から読み解くZ世代と令和の消費構造vol.1│「感情」が動くマーケティング

更新日:2026年02月04日(水)

“モノが売れる理由”は、価格や機能だけじゃない。心が動く瞬間にこそ、消費の本質があります。
この連載では、日常の中のちょっと気になるトレンドをテーマに、マーケターの視点からその背景やヒントを紐解いていきます。

今回は 「界隈消費」 

今話題の界隈消費について、全3回にわたって考察していきます。

「界隈消費から読み解くZ世代の気持ちの動き方」
~Vol1.界隈消費とは?共感で広がるZ世代の経済圏~
 

界隈消費とZ世代

みんながそれぞれの界隈に存在しているのが当たり前になったZ世代。

「○○界隈」という言葉、SNSで見かけない日はありません。

韓国コスメ界隈、平成レトロ界隈、推し活界隈……。
最近では、風呂キャンセル界隈や健康キャンセル界隈といった言葉も登場しています。
その日の気分やブームによって、複数の界隈に所属するZ世代も少なくありません。

最初に界隈が生まれるのは、誰か一人の“好き”や“こだわり”です。
それを自己表現としてSNSに投稿した瞬間、「わかる、それ私も!」と共感する人
が現れます。
そこで「同じ界隈の仲間」が生まれます。
自分だけの世界だと思っていたものが、全国に同じ感覚を持つ人がいると気づいたとき、共感は一気に拡散していきます。

界隈消費とは、共感が可視化され、連鎖していく仕組みのことを指します。
単なる趣味や嗜好の集まりではなく、「自分らしさを見つける」ための社会的な回路になっているのです。

界隈消費のリアル

界隈消費をひも解くと、いくつかのリアルが見えてきます。

ひとつは 「所属感」 
同じ界隈の仲間と一緒に買う、一緒に楽しむ。
その行為自体が満足につながります。
購買はモノを得る手段であると同時に、仲間との共感を確認するセレモニーでもあります。

もうひとつは 「自己表現」 
買ったものや体験はSNSで発信され、自分のアイデンティティを彩る記号になります。
誰かに見せるためではなく、「これが自分」という証**として機能しているのです。
まさに「自分の機嫌は自分でとる」を体現するのが界隈消費といえます。

そして 「拡散性」 TikTokInstagramに投稿された小さな消費の断片は、界隈を超えて拡散し、全国規模のトレンドを生み出す火種となります。界隈消費は、まさに個人の感情と社会の動きが交差する地点にあるのかもしれません。

界隈女子

SNSで繋がり共感し、界隈ごとに“仲間”を作るZ世代。

Z世代という“感性”

Z世代を単に若者と呼ぶのはもう古い。

―Z世代とは年齢ではなく、価値観のこと。―
令和になり、マーケティングの現場ではそう捉えるようになってきました。

SNSでつながり、共感を軸に世界を感じ取る新しい感性
この感性を持つ人たちは、もはや10代や20代だけでなく、30代にも広がっています
Z世代的な価値観を持つ大人たちは、消費の“共鳴者”であり、経済を動かす側に立っているのです。

メディアではしばしば「Z世代=SNSで拡散する世代」と語られますが、実態はもっと複雑です。
Z世代の消費行動は、偶発的な“バズ”ではなく、日常的に存在する界隈の中で育まれていることが多いのです。

大切なのは“共感”と“共鳴”
好きの共有が購買行動に変わり、購買行動が新しい文化を生む。
Z世代のリアルを理解するには、SNSのトレンド分析だけでは足りないというのが現状なのです。

Z世代が作るトレンド、大人が完成させる経済

エンジェルブルー

平成ブームを牽引するアパレルブランド「エンジェルブルー」
https://www.narumiya-online.jp/shop/default.aspxより引用

令和の消費を彩るトレンド――Y2Kファッション、平成リバイバル、韓国カルチャー。
その発火点の多くには、Z世代の存在があります。

界隈から生まれた小さな火種がSNSで拡散し、社会全体に広がっていきます。
そこから大人たちが共鳴し、購買行動を通じて経済圏を完成させていく

ブームの起点は若者でありながら、経済を完成させるのはその“感性”に呼応した大人たち。
この二段構えで、令和の消費は動いています。

“平成リバイバル”を単なる懐古ブームと捉えるのは早計かもしれません。
Z世代にとっては、知らない時代を“新しいレトロ”として楽しむカルチャー。
一方でミレニアル世代にとっては、自分が生きてきた時代を再発見する行為。

つまり、単なるノスタルジーではなく、異なる世代の“解釈”が新しい価値と共感を生んでいるのです。世代をまたいだ感情が界隈消費を拡大し、経済を動かすエネルギーになっています。

企業がZ世代を理解するということ

企業がZ世代を理解するということは、単に若者のトレンドを追うことではありません。

Z世代が起点となり、上の世代へと価値観が伝播していく。
その“共鳴の連鎖”を読み解くことこそ、いまのマーケティングに求められている視点です。

そしてZ世代は、すでに社会の中で働き、稼ぎ、消費を促す側にまわり始めています。
彼らは“買う側”から“動かす側”へと変わりつつあるのです。
大人世代もまた、Z世代的な価値観を自然に受け入れながら共鳴している。

世代とは、切れ目ではなく連なりです。
消費はその連なりの中で生まれ、進化していきます。

マイナビは、学生、社会人、子育て世代など、さまざまなライフステージのリアルを見つめるメディアを通して、その連なりを静かに観察してきました。

界隈消費を通して見えるのは、若者だけのムーブメントではなく、共感を軸に世代を超えてつながる、新しい社会のかたちなのです。

この記事を書いた人
マイナビベアの写真
桑野 好絵(くわの・このえ)|株式会社マイナビ
2007年マイナビ入社。 女性向けメディアや若年層トレンド領域に従事し、現在は『マイナビニュース』『マイナビウーマン』などの広告企画を担当。 Z世代に特化した調査チーム「マイナビティーンズラボ」のプランニングやデータ解説、企業向けの講演も行う。 高校1年生の息子を育てる母として、「調査データ」と「リアルな声」の両面から若者インサイトを掘り下げている。

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