キダルト消費が止まらない! ~「大人になった子どもたち」が作る、新しい市場のかたち~│「感情」が動くマーケティング

更新日:2025年10月15日(水)

モノが売れる理由”は、価格や機能だけじゃない。心が動く瞬間にこそ、消費の本質があります。
この連載では、日常の中のちょっと気になるトレンドをテーマに、マーケターの視点からその背景やヒントを紐解いていきます。

第1回は 「キダルト消費」 

大人になった今も“好き”を大切にする人々の行動や心理をマイナビの現役マーケター2人が語ります。

登場マーケターのプロフィール

中西 舞(なかにし・まい)|株式会社マイナビ

 

コンテンツメディア事業本部 マーケティング部ディレクター。
大学生向けメディア『学生の窓口』の立ち上げに関わり、デジタル・アパレル・金融・食品・医薬化粧品など多様な業界の広告企画を担当。
現在は大学生をはじめとしたZ世代向け案件を中心に、年間約200件以上のプランニングおよび営業同行を行う。

桑野 好絵(くわの・このえ)|株式会社マイナビ

 

2007年マイナビ入社。
女性向けメディアや若年層トレンド領域に従事し、現在は『マイナビニュース』『マイナビウーマン』などの広告企画を担当。
Z世代に特化した調査チーム「マイナビティーンズラボ」のプランニングやデータ解説、企業向けの講演も行う。
高校1年生の息子を育てる母として、「調査データ」と「リアルな声」の両面から若者インサイトを掘り下げている。

キダルト消費が止まらない⁉
「大人になった子どもたち」が作る、新しい市場のかたち

「推しグッズが溢れてるデスク」
「大人買いしたたまごっち」
「仕事終わりのプラモタイム」

それ、ぜんぶ キダルト消費 なんです。
幼少期にたくさんは買えなかったお菓子を箱買いしたり、ガチャガチャでほしい商品がでるまでひたすらまわしたり、、、みなさんそんな経験ありませんか?
筆者はつい先日、駄菓子屋で息子より爆買いしてしまいあきれられました。

キダルト(KIDULT)=KID + ADULT。
つまり、 大人になっても“子ども心”を持ち続け、好きなものにお金と時間をかけられる層 が新たな消費マーケットを動かしていくと言われています。
今回は静かに熱く、そして確実に広がっているキダルト消費について考察してみます。

 

キダルト消費は「感情」で動く

モノや情報があふれる時代において、キダルト層が求めているのは単なる“機能”じゃない。
「これ好きだったな」
「これを買ったら、ちょっと元気出そう」

そんな “ときめき”や“癒し” 、そして “自分らしさの再確認” 
大人になって何かに夢中になるきっかけが少なくなった大人たちのときめき。
それが、キダルト消費のエンジンです。

 

キダルトの代表的な消費ジャンル



 

 

平成を象徴するマンガNANAは今も根強いファンがたくさん。
この時代をともに生きた同世代と共鳴しあえるのもキダルト消費の魅力の一つ。

画像https://www.uniqlo.com/jp/ja/り引用

 

市場も注目、拡大を続けるキダルト消費

米国調査会社NPDによると、「おもちゃ業界の約4割が大人による購買」(2022年)というデータがあります。つまりアメリカでは“玩具”を起点に、ノスタルジーストレス発散を動機とした大人の消費が市場を押し上げています。

一方、日本では玩具にとどまらず、キャラクター雑貨や菓子、レトロコンテンツなど多方面に広がりを見せています。日本玩具協会の調べでは、2024年度の国内玩具市場は少子化にもかかわらず過去最高の1兆992億円に達しました。背景には、子ども時代の“推し愛”を今も貫く大人の存在や、限定コラボ・高付加価値アイテムに積極的に投資する購買層の拡大が顕著です。

SNSでのシェア消費(#大人買い #推し活 #昭和レトロ)もその流れを後押しし、キダルトは一過性のブームではなく、近年の市場構造を変える存在として注目されているのです!

 

今後、どうなる?キダルト消費【3つの予想】

(1) コラボは「エモ軸」勝負に

令和のブランドが平成レトロと手を組む 「エモいコラボ」がヒット する傾向。
話題性となつかしさのコラボに今後も注目です!

幼いころ憧れたアイテム×アイテムのコラボはまさにキダルト心をくすぐる戦略!

https://familiar.co.jp/より引用

 

(2) 体験型消費もキダルトに向けて進化

「プラモ作りBAR」、「ガンダムバー」、「レトロお菓子フェス」など、 “あの頃の自分に戻れる体験” が人気!
キダルト消費はモノだけでなく、コト・トキ消費としても広がっています。

 

(3) キダルト層は第二の主役

少子化による子どもターゲットの人口の減少は、玩具やお菓子業界においても深刻な問題になっていました。
そんな中で 消費を引っ張るキダルト層 が、市場のけん引役として期待されています。

 

【マーケ雑談】キダルト消費は“時間”と“記憶”に紐づく

桑野

キダルト消費は、 “今の自分”だけじゃなく、「昔の自分」や「未来の自分」にまで想いが及ぶ、情緒的な消費 ですよね。
私はあまりキダルトっぽい消費をしないんですけど、中西さんは結構買いません?それこそハッピーセットのおもちゃを大人買いしてましたよね?

中西

そうかも。セーラームーンも大好きですし、ビックリマンチョコのシールも集めててデスクに飾ってるし。

桑野

そうそう、多趣味な大人だなって思ってたけどキダルト消費だったんだって今理解しました。

中西

大人買いをすること自体がストレス発散、買ったあとどうするとか何かに使うとかまで考えてないんですよ。
だから推しのキャラのクリアファイルが無数に家にあったりします。

桑野

大人になって買いたい!と思ったときに買える快感みたいなものがあるのかな。

中西

まさに!幼少時代は限られたお小遣いだったり、ジャンクフードとかはあまり食べさせてくれないとかそういう環境で育った分、今の反動はすごいかも。

桑野

よく 菓子パン 食べてますもんね。それも一種のキダルト消費かなって思います。
30代の男性とかが メロンソーダ みたいなのを自販機で買ってるの見ると、小さいころから好きなものが変わらないのかな?とか思いながら微笑ましく観てしまいます。

中西

子育て世代はなかなかそういうキダルト的な消費は起こらなさそう。
そんなことより、まさに子どもマーケットの中心にいるから。

桑野

子どもそっちのけで、戦隊ものにハマるお父さんは結構いますけど、子どもの目がある手前あんまり自分のためにおもちゃを買ったりはしないかもです。

中西

そうなると 30代~40代の可処分所得の高い層がキダルト消費を牽引 していますね。
マインド的には、「子ども時代に買ってもらえなかったものを今こそ」・「疲れた自分を“あの頃の気持ち”で癒やす」みたいな。

桑野

忙しい現代ビジネスマンの心のよりどころ的な需要がありますね。
 ノスタルジーと自己肯定感が満たされるのがキダルト消費。 

 

【まとめ】「好き」が再評価される時代の、最前線。

キダルトは 「大人になったけど、今もちゃんと好きでいたいものがある」 という人たち。
そしてそんな“好き”に、お金も時間もかけられる時代になった。
いま、キダルト層に響く商品や体験を届けられるかが、企業やブランドの“未来のお客さん”をつかむカギになるのかもしれません。

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