ユーザーエンゲージメントとは? 重要指標10選と向上施策を紹介

更新日:2026年08月05日(水)

「Webサイトの訪問数は伸びているのに、売上や継続利用につながらない……」そのような課題を抱えるマーケティング担当者は少なくないでしょう。その原因は、ユーザーとの「関係性の深さ」、つまりユーザーエンゲージメントが十分に育っていないからかもしれません。

本記事では、ユーザーエンゲージメントの定義から、経営指標として重要視される理由、GA4での測定方法、明日から着手できる7つの施策、成功企業の事例までを網羅的に解説します。

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ユーザーエンゲージメントとは?

ユーザーエンゲージメントとは、Web上におけるユーザーと自社サービス・ブランドとの関係性の強さを示すマーケティング用語です。 単なる訪問数や表面的なアクセス数ではなく、 ユーザーがサービスに対して抱く愛着や熱量、つまり「継続的な関わりの深さ」を測る概念 として位置付けられています。

具体的には、ページの閲覧・動画の視聴・ボタンのクリック・商品購入・SNSでのシェアといった、あらゆる反応がユーザーエンゲージメントに含まれます。

ユーザーエンゲージメントはLTV(顧客生涯価値)の向上や新規顧客の獲得にとって重要な概念であり、施策の成果を可視化する上でもなくてはならない指標です。

ユーザーエンゲージメントが重要視される3つの理由

ユーザーエンゲージメントが重要視される3つの理由
  • 購買頻度・購買額の増加によりLTV(顧客生涯価値)が向上する
  • SNSでの拡散・クチコミにより新規顧客獲得コストを抑えられる
  • サイトの滞在時間・回遊率の向上

ユーザーエンゲージメントが経営指標として注目される背景には、収益性・獲得効率・集客力という3つの事業メリットがあります。ここでは、それぞれの理由を解説します。

理由1|購買頻度・購買額の増加によりLTV(顧客生涯価値)向上につながる

LTVは一般的に「平均購買単価 ×収益率× 購買頻度 × 継続購買期間」で算出されます(ビジネスモデルなどによって異なります)。

ユーザーエンゲージメントが高い顧客は、ブランドへの愛着から「平均購買単価」「購買頻度」「継続購買期間」が高まりやすく、 結果として顧客1人あたりのLTV(顧客生涯価値)向上が期待できます。 

LTVが向上して既存顧客が増えることにも大きな意味があります。「1:5の法則」といい、新規顧客に販売するコストは既存顧客に販売するコストの5倍かかるといわれているのです。また、「5:25の法則」といい、顧客離れを5%改善すれば、利益が少なくとも25%改善されるという説も通説となっています。LTVを高めて既存顧客を増やし、客離れを改善することで、利益率の向上も見込めるでしょう。

理由2|SNSでの拡散・クチコミにより新規顧客獲得コストを抑えられる

エンゲージメントの高いユーザーは、自発的にSNSで商品・サービスをシェアしたり、ポジティブなクチコミをしてくれたりする傾向があります。このようにXやInstagramなどで拡散されると、広告費をかけずに新規顧客との接点を生み出し、顧客獲得コストを削減できます。 広告費をかけずに新規顧客との接点を生み出せます。 

また、既存ファンによる拡散・クチコミは、広告と比較してブランドへの信頼性が高まりやすく、指名検索や来店・購入率の向上も期待できます。

広告費の高騰が続く現在、広告依存から脱却して持続可能な成長を実現するためにも、ユーザーエンゲージメントの向上は重要といえるでしょう。

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理由3|サイトの滞在時間・回遊率の向上

ユーザーがサイト内で長く滞在し、複数ページを回遊すると、検索エンジンから「ユーザーニーズに応える質の高いコンテンツ」と評価される場合があります。結果として検索順位が向上し、オーガニック流入の増加につながる可能性があります。

ユーザーエンゲージメントを測定する主要指標10選

ユーザーエンゲージメントは目に見えない概念のため、複数の定量指標を組み合わせて可視化する必要があります。サービス形態(Webサイト・ECサイト・アプリ)によって重視すべき指標は異なりますが、まずは代表的な10指標を「行動系」「継続系」「収益系」の3カテゴリに分類して紹介します。

行動系指標(PV数・セッション時間・スクロール到達率・直帰率)

ユーザーがサイト内でどの程度アクティブに行動しているかを示す指標群です。 初回接触時の刺さり方やコンテンツの読了度合い を測ることができます。

指標 何を測る指標か
PV数(ページビュー) コンテンツへの総リーチ量
セッション時間 1回の訪問における関心度・熱量
スクロール到達率 コンテンツの読了度
直帰率 初回接触時の情報適合度

継続系指標(リテンション率・DAU/MAU比率)

一定期間内に再訪するユーザーの割合を測る指標群です。 継続的な関係構築ができているかを判断する材料 になります。

指標 何を測る指標か
リテンション率 一定期間後の継続利用率
DAU/MAU比率(スティッキネス) アクティブユーザーの訪問頻度(1に近いほど利用頻度が高い)

収益系指標(LTV・CTR・カート離脱率・フィードバック回収率)

ビジネス成果に直結する指標群で、ECサイトでは特に重要です。 ユーザーエンゲージメントを収益と紐付けて評価する際の中核 となります。

指標 何を測る指標か
LTV(顧客生涯価値) 顧客1人あたりの累計利益
CTR(クリック率) 訴求・導線の反応率
カート離脱率 購入手続きを完了しなかった割合
フィードバック回収率 レビュー・アンケート等への参加度

サービス形態別・見るべき指標の使い分け

10指標すべてを追うのは現実的ではありません。自社のビジネスモデルに応じて優先指標を絞り込みましょう。

サービス形態 特に重視すべき指標の例
メディアサイト 滞在時間・PV数・SNSシェア数など
ECサイト リピート率・カート離脱率・メール開封率など
アプリ DAU/MAU比率・平均セッション数など

GA4におけるユーザーエンゲージメントとは?

Google Analytics 4(GA4)では、従来のUA(ユニバーサルアナリティクス)とは異なり、「ユーザーが実際にページを見ていた時間」を軸にエンゲージメントを測定します。

GA4におけるユーザーエンゲージメントの定義

GA4では、 ユーザーがフォアグラウンド(画面表示中)でアクティブにページを見ていた合計秒数をエンゲージメントとして計測 します。別タブに切り替えていたり、ブラウザを最小化している時間はカウントされないため、UA時代の「滞在時間」よりも実態に即した測定が可能です(Googleアナリティクス ヘルプより)。

GA4で 確認できるユーザーエンゲージメントの指標の例

GA4の標準レポートで確認できる指標の例を紹介します。いずれも「レポート>エンゲージメント」から確認できます。

指標名 定義
エンゲージメント率 エンゲージメントがあったセッション(10秒以上継続する、キーイベントが発生する、ページビューまたはスクリーンビューが2回以上発生する)の割合
エンゲージのあったセッション数 エンゲージメントがあったセッション(10秒以上継続する、キーイベントが発生する、ページビューまたはスクリーンビューが2回以上発生する)の数
平均エンゲージメント時間 ユーザーがアクティブに操作・閲覧していた時間

ユーザーエンゲージメントを高める7つの施策

BtoC企業が実行しやすい施策を整理しました。自社でできていること・できていないことを整理し、実施しやすいものから取り入れてみてください。

施策1|検索意図に沿った価値あるコンテンツを提供する

施策の例
  • ペルソナ・カスタマージャーニーを再設計し、接点ごとの情報ニーズを言語化する
  • 検索クエリの背景にある「疑問・不安・欲求」に応える構成にする
  • 一次情報や独自データを盛り込み、他サイトとの差別化を図る

ユーザーの疑問に的確に応えるコンテンツは、滞在時間・回遊率の向上につながります。特に検索流入を主軸とするメディア型サイトでは、コンテンツの質がユーザーエンゲージメントを左右します。

施策2|UI/UX・ユーザビリティを見直す

施策の例
  • ボタン配置・余白・フォントサイズ・行間を最適化する
  • 表示速度を改善する(画像圧縮・キャッシュ活用・不要スクリプト削減)
  • 目的達成までの導線を最短化する

ユーザーが迷わず目的を達成できるサイト設計は、エンゲージメントの土台となります。表示速度は特にモバイル環境で影響が大きいため、モバイル流入が多いサイトでは改善する価値があるでしょう。

施策3|パーソナライズされた体験を提供する

施策の例
  • 属性・行動履歴に基づくレコメンドを実装する
  • メール・プッシュ通知を個別最適化して配信する
  • 「あなた向け」の情報提供で関心の維持と再訪を促す

一律の情報提供ではなく、個々のユーザーに合わせた体験を提供することで、関心の持続と再訪を促進できます。近年はAIを活用したレコメンドエンジンの導入コストも下がっており、中小規模のECサイトでも取り組みやすくなっています。

施策4|スマートフォン最適化を徹底する

施策の例
  • レスポンシブデザインに留まらず、スマホ専用の検証を行う
  • タップ操作性・文字サイズ・行間を実機で確認する
  • モバイル表示速度を個別に計測・改善する

BtoCサイトでは、スマートフォンからの流入が大きな割合を占めるケースがあります。まずはGA4やGoogle Search Consoleで自社サイトのデバイス比率を確認しましょう。スマートフォン利用者が多いサイトでは、モバイル環境のUXがユーザーエンゲージメントを大きく左右します。

施策5|フォーム最適化(EFO)で離脱を防ぐ

施策の例
  • 入力項目を必要最小限に絞る
  • リアルタイムエラー表示で入力ミスを即座にフィードバックする
  • チャットボット型EFOツールで対話的な入力体験を提供する

入力フォームの離脱率は、フォームの目的や項目数、流入経路によって大きく異なります。GA4のファネルデータなどを用いて、自社フォームの入力開始数と完了数を確認しましょう。

入力項目の削減やエラー表示の改善、チャットボット型EFOの導入は、ユーザーの負担を軽減するための選択肢となります。ただし、チャットボット型EFOがすべてのユーザーに適するとは限らないため、通常フォームとのA/Bテストを行い、完了率や入力時間を比較することが大切です。

施策6|SNS・コミュニティで双方向コミュニケーションを行う

施策の例
  • 公式アカウントによる継続的な情報発信を行う
  • ユーザー投稿の紹介・コメント返信でエンゲージメントを可視化する
  • 社員やスタッフ個人による発信で「顔の見える」ブランド体験を提供する

一方向の発信ではなく、ユーザーとの対話を通じてブランドとの心理的距離を縮めることも重要です。後ほど事例で詳しく紹介しますが、たとえば三越伊勢丹は店舗・ショップ等の公式SNSアカウントや社員の公認個人アカウントを運用し、社員個人を「メディア化」する形でエンゲージメントを強化しています。

施策7|ゲーミフィケーションで参加意欲を促進する

施策の例
  • バッジ・ポイント・ランクなどの達成感要素を導入する
  • 期間限定チャレンジで継続動機を高める
  • ロイヤリティプログラムとして体系化する

楽しみながら継続利用を促すゲーミフィケーションは、特にアプリやロイヤリティプログラムで効果を発揮します。有名な例として、スターバックスの「Starbucks Rewards」があります。

ユーザーエンゲージメント向上を成功させる3ステップ

施策を単発で実施しても、成果は出にくいものです。「指標定義→施策実施→継続的PDCA」という流れを繰り返すことで、初めてインパクトが生まれます。ここでは、ユーザーエンゲージメント向上を成功させるためのステップを整理します。

STEP1|自社に合ったエンゲージメント指標を定義する

メディア型・EC型・アプリ型など、自社サービスのビジネスモデルに応じて重視する指標を絞り込みます。全指標を追うのではなく、 KGIに最も影響する3〜5指標に絞る ことで、施策の優先順位が明確になります。

たとえばECサイトであれば「リピート率」「カート離脱率」「メール開封率」を、メディアサイトであれば「平均エンゲージメント時間」「回遊ページ数」「SNSシェア数」を軸に設計します。KGIから逆算して指標を決めることが重要です。

STEP2|指標改善のための施策を実施する

指標のボトルネックを特定し、 仮説を立てて適切な施策を選びます。 施策については前段で述べた「ユーザーエンゲージメントを高める7つの施策」を参考にしてみてください。

たとえば、検索流入ページのエンゲージメント率が他のページより低い場合、流入クエリとコンテンツ内容のずれ、ファーストビューの分かりにくさ、表示速度など、複数の原因が考えられます。1つの原因に決めつけず、ページや流入元を比較しながら検証しましょ

改善案はA/Bテストなどで検証し、エンゲージメント指標だけでなく、CVRや売上などの最終成果も合わせて確認することが重要です。

STEP3|継続的にPDCAを回す

ユーザーエンゲージメントは、施策によって短期間で変化が表れる指標と、長期的に評価すべき指標があります。CTRやフォーム完了率などは週次・月次、リテンション率やLTVは月次・四半期など、 指標の性質に応じて確認頻度を設定 しましょう。

Looker StudioやGA4の探索レポートを活用し、主要指標をダッシュボード化すると、変化を把握しやすくなります。マーケティング部門だけでなく、営業・商品開発・カスタマーサポートとも結果を共有し、改善につなげることが大切です。

ユーザーエンゲージメント向上に成功した企業の事例

実際にユーザーエンゲージメント向上に成功したBtoC企業の事例を紹介します。自社の状況に近い事例があれば、ぜひ参考にしてみてください。

三越伊勢丹|SNS活用による顧客接点強化

出典:三越伊勢丹ホールディングス公式サイト

ダイヤモンド・リテールメディアによると、三越伊勢丹は2021年の時点で店舗・ショップ等の公式SNSアカウント約270、社員の公認個人アカウント約85を運用し、 社員個人を「メディア化」する形でユーザーとの継続的な接点を創出 しています。個人アカウントの全フォロワー数は約7万7,000人まで増加し、中には1万人以上のフォロワーを持つスタイリストも存在します。

社員個人アカウント運用者の上司には、半期に1回エンゲージメント指標に基づく行動実績表が送付され、成果を上げた社員は毎年3月に表彰される仕組みも整備。組織的なインセンティブ設計がエンゲージメント施策を継続的に機能させています。

スターバックスコーヒー|「サードプレイス」の体験価値とロイヤリティプログラム

出典:スターバックスコーヒー ジャパン公式サイト

スターバックスは、コーヒー提供に留まらず、 顧客が安心して過ごせる「第3の居場所(サードプレイス)」の提供を徹底し、来店時間そのものに価値を感じさせる体験の設計を実現 しています。空間・接客の一貫性が高いユーザーエンゲージメントの土台になっています。

さらに、ロイヤリティプログラム「Starbucks Rewards」により顧客との継続接点をデジタル面でも強化。CNET Japanによると、2017年の時点で米国では会員による商品購入が売上高の36%を占めるまで成長しており、リアルの体験価値とデジタルロイヤリティプログラムを組み合わせる好例といえます。

株式会社レアジョブ|離脱ユーザーへのLINE誘導でCTR約4倍

出典:株式会社レアジョブ プレスリリース

オンライン英会話「レアジョブ英会話」を運営する株式会社レアジョブは、 サービスページ離脱ユーザーに対しLINE友達追加を促すポップアップを表示する施策を導入 しました。結果、施策開始からわずか約2週間でCTRが約4倍に改善しています(GENIEE CX Naviより)。

既存の集客チャネルに追加する形で導入できるため、リソース制約のある企業でも着手しやすい施策といえます。

まとめ

ユーザーエンゲージメントは、自社に合った指標定義・施策実行・継続改善のサイクルで積み上げる資産です。まずは自社の状況を確認し、ボトルネックとなる導線から改善を始めてみましょう。

また、既存顧客のLTV向上に加え、新たな顧客との関係構築も、長期的にユーザーエンゲージメントが高い状態をつくる上で大切です。単に情報を届けるだけでなく、ユーザーとの対話・共創を通じてファンを育てる取り組みが必要になってくるでしょう。

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